不平不満や怨みつらみを包み隠し、表にでないことをいいます。
【怨】は、夘(音符号:エン)+心(部首)から作られた形声文字です。意味は「うらむ」です。
【望】は、亡(音符号:ボウ)+月(部首)+壬 )から作られた形声文字です。
意味は、①のぞむ、②うらむです。
ですから【怨望】は、うらむ、うらめしく思うです。
【隠伏:いんぷく】は①かくれふす ②包み隠す、です。
『学問のすすめ』第十三篇にでている四字熟語です。
第十三篇は、
およそ人間に不徳の箇条多しといへども、その交際に害あるものは怨望より大なるはなし。
で始まってまして、【怨望】は他人の幸福をにくみ、うらむことであるから、【怨望】の気持ちをもって人と付き合うのは一番いけないことだ、と言ってます。
【怨望隠伏】がでているところは
英亜の人民、貪吝驕奢(タンリンキョウシャ)ならざるに非ず、粗野乱暴ならざるに非ず、
或いは詐(いつは)る者あり、或いは欺(あざむ)く者ありて、その風俗決して善美ならずと
いへども、ただ【怨望隠伏】の一事に至りては、必ず我国と趣きを異にするところあるべし。
現代語訳
欧米の人民が、欲張りでなかったり、ケチでなかったり、傲慢でなかったり、贅沢でなかっ
たりするわけではない。粗野で乱暴なところもある。あるいはウソをつく者もいるし、ある
いは騙す者もいる。その風俗は決して美しく善いものではないけれども、ただ【怨望隠伏】
のことに関しては、はっきり我が国と異なっているようだ。