【貪夫(タンプ)は財(ザイ)に殉(ジュン)ず】と訓読みされます。
貪欲な男は金のためには命を捨てるのも厭わない、という意味です。
【貪】は、貝+今 から作られた会意文字です。今は含むの一部で、「ふくむ」の意味です。
貝(金品)を含みこむ、ということで「むさぼる」という意味です。
「タン」が漢音です。「貪欲:ドンヨク」、「貪婪:ドンラン」の「ドン」は慣用読みです。
【貪夫:タンプ】は、欲の深い男です。
【徇】は、彳+旬 から作られた形声文字です。ジュンは呉音です。意味は「したが・う」です。
【殉財】は、命がけで財(金品)求めることです。むしろ命を捨ててでも、金を欲しがるという意味です。
『史記』伯夷列伝にでています。
貪夫徇財
貪夫は財に徇じ
貪欲な人は財貨を求めるために身を投げ出し、
烈士徇名
烈士は名に徇ず
義烈の人は名誉のために身を投げ出し
夸者死權
夸者(コシャ)は權に死す
権勢欲の強い人は権勢のために一命を失い
衆庶馮生
衆庶(シュウショ)は生を馮(むさぼ)ると。
一般民衆はただ生命をむさぼる
司馬遷が伯夷列伝をまとめながら『天道是か非か』を問う場面で、漢の賈誼(カギ)の言葉として載せたものです。
トラだかハエだか知りませんが、それにしても財に徇じた貪夫が5万5千人とは。