【寤寐に思服す】と訓読みされまして、寝ても覚めても忘れないことをいいます。また人を思う気持ちが切なることも表わします。
【寤】は、吾(ゴ)を音とする形声文字で、目が覚めている意味です。
【寐】は、未(ビ)を音とする形声文字で、眠る意味です。
【思】は、田(子供の脳の象形)+心 から作られた会意文字で、「おもう」の意味です。
【服】は、月(ふなづき、と呼ばれ舟です)旁の部分はつけるの意味があり、原義は車を引く馬で、
特に四頭立ての馬のうち、内側の二頭をいいます。身につける、着る、従うの意味でも使われる
ようになりました。
『詩経』周南:關雎(カンショ)4言×20句の詩の10句目に【寤寐思服】がでています。
原詩 訓読み 口語訳
5 參差行菜 參差(シンシ)たる行菜は 長短が不揃いなアサザは
6 左右流之 左右に之を流(もと)む 流れにまかせてこれを取る
7 窈窕淑女 窈窕たる淑女は しとやかな淑女は、
8 寤寐求之 寤めても寐ねても之を求む 覚めても寝ても、しとやかな淑女を求め
9 求之不得 之を求むれども得ざれば しとやかな淑女を求めて得ることができないなら
10 寤寐思服 寤めても寐ねても思服す 覚めても寝ても常に思って忘れない
11 悠哉悠哉 悠なる哉 悠なる哉 はるかなる思いであるよなあ
12 輾轉反側 輾轉(テンテン)反側す ごろりごろりと身もだえす
關雎の詩は、祖靈祭祀の詩、であるとか恋愛詩であるとか、学者先生たちはいろいろ言ってます。