【月満つれば則(すなわ)ち虧(か)く】と訓読みされまして、月が満月になればその後必ず欠けて行く、と言うことから、物事が極みに達すると必ず衰えていくことを表わした四字熟語です。
『史記』蔡澤(サイタク)列伝にでています。
戦国時代、燕の蔡澤は秦の宰相范雎(ハンショ)が自分の推薦した者が重罪を犯したことで、
内心忸怩としていると聞き、秦に赴き人をやって范雎の耳にいれました
「燕の客人蔡沢は天下きっての俊秀である。秦王に謁見したら、范雎を苦しめ宰相の地位を
すぐに奪うだろう」。
范雎はそれを聞き、蔡沢を召した。蔡沢は、范雎に言いました。
語曰、日中則移、月滿則虧。
語に曰く、日(ひ)中(ちゅう)すれば則ち移り、月(つき)満(み)つれば則ち虧(か)け、
諺に、日が中天に到るとその後は西に向かい、月が満月となるとその後は欠けていき
物盛則衰、天地之常數也。
物(もの)盛んなれば則ち衰(おとろ)ふるは、天地の常数なり。
物が頂点に達するとその後衰えていくのは、天地の不変の法則であり、
進退盈縮、與時變化。
進退(シンタイ)盈縮(エイシュク)し、時と変化す。
出処進退を時の情勢に従って変えるのは、
聖人之常道也。
聖人の常道なり。
聖人の常にふみ行う道である。
その後、范雎は宰相の印綬を返上し、蔡澤を秦:昭王に推薦しました。
昭王は蔡澤の計画を嘉して、秦の宰相に任じれました。