年を取っていくのを嘆いた四字熟語です。
【遅暮】は、遅くゆっくりと暮れていくということで、少しずつ年を取ることを言います。
【嘆】は、なげくことです。
出典は『楚辞:ソジ』の離騒(リソウ)篇です。
屈原の作品を中心として、楚の歌謡を集めたのが『楚辞』です。
北方の『詩経』、南方の『楚辞』と対比され、共に後代の漢詩に影響を与えた作品です。
屈原(クツゲン:B.C.343年~B.C.278年)は、中国戦国時代の楚の政治家で詩人です。春秋戦国時代を代表する詩人であり、政治家としては秦の張儀の謀略を見抜き踊らされようとする懐王を必死で諫めたが受け入れられず、楚の将来に絶望して汨羅(ベキラ)に入水自殺してしまいました。
後に屈原の無念を鎮めるため、また亡骸を魚に食べられないように、魚の餌として笹の葉に米の飯を入れて川に投げ込むようになりました。これが粽(ちまき)の由来といわれています。
離騒(リソウ)篇は、屈原の作といわれ、憂国の情と,讒言(ザンゲン)に遭って朝廷を追われる憂愁を幻想的にうたったものです。373句の長編です。
【遅暮之嘆】に関連する、4句のみ記載します。。
17句目 日月忽其不淹兮
日月は忽(コツ)として其れ淹(とど)まらず、
月日はたちまちに流れて留まらず、
18句目 春與秋其代序
春と秋と其れ代序(ダイジョ)す
春と秋とは代わる代わる行く
19句目 惟草木之零落兮
草木の零落(レイラク)を惟(おも)い
草木の枯れ落ちるのを思い、
20句目 恐美人之遅暮
美人の遅暮(チボ)を恐る
美しいかの人も年老いて、老けゆくのを恐れた。