【この世の始まり】を表わした四字熟語です。
【開闢】は、どちらも「ひらく」という意味ですが、熟語になったときは、『世界の開け始め』、『天地創造』
の意味になります。
『古事記』序文の記述です。読み下し文と口語訳を記載します。
天地(あめつち)初めて発(ひら)けし時、高天原(たかまのはら)に成れる神の名は、
天と地が初めて分れた時、高天原に生まれた神の名は、
天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、
次に高御産巣日神(たかみむすひのかみ)
次に神産巣日神(かみむすひのかみ)。
此の三柱(みはしら)の神は、並独神(みなひとりがみ)と成り坐(ま)して身を隠したまひき。
此の三柱の神は、みな配偶者をもたない神としてお成りになって、
お姿を見せることは無かった。
このあと序文の最後で、【天地開闢】がでてきます。【テンチカイビャク】、と音読みではなく、
【あめつちのひらけしとき】、と訓読みされます。
大抵所記者、自天地開闢始、
大抵(おほかた)記(しる)す所は、天地開闢(あめつちのひらけしとき)より始めて、
およそ書き記したところは、天地の開闢から
以訖于小治田御世。
以って小治田(おはりだ)の御世(みよ)に訖(をは)る。
推古天皇の御代までです
『日本書紀』の出だしのところです。
古(いにしへ)に天地(あめつち)未だ剖(わか)れず、陰陽(めを)分れざりしとき、
昔、天地も未だ分れず、陰陽の対立も未だ生じなかったとき、
渾沌(まろか)れたること鶏子(とりのこ)の如くして、
渾沌として形定まらず、
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<途中省略します>
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故(かれ)曰く、開闢(あめつちひら)くる初(はじめ)に、
だから次のような伝承がある、天地が生まれ初めるとき、
洲壌(くにつち)の浮(うか)れ漂(ただよ)へること、
国土がまだ浮かれ漂うさまは、
譬(たと)へば、游魚(あそぶいを)の水上(みづのうへ)に浮けるが猶(ごと)し。
例えると遊魚が水上で浮いているようだった。