【狂瀾】も【怒濤】も、荒れ狂う大波の意です。そこから、世の中の秩序がひどく乱れている様子を言います。
【狂瀾】は、荒れ狂う波を表わします
【瀾】は、氵+闌 から作られた形声文字です。音は「ラン」、意味は大波です。小波が「波」です。
「波瀾万丈」は、小波と大波が高く波立っている様子から、激しい変化に富むさまを言います。
【怒濤】は、怒り狂う波、さかまく波を表わします。
【濤】は、氵+壽 から作られた形声文字です。音は「トウ」、意味は大波です。
【狂瀾怒濤】は夏目漱石『吾輩は猫である』の第7章に使われています。
御維新前(ごいっしんまえ)の日本人が海水浴の功能を味わう事が出来ずに死んだごとく、
今日(こんにち)の猫はいまだ裸体で海の中へ飛び込むべき機会に遭遇しておらん。
せいては事を仕損(しそ)んずる、今日のように築地へ打っちゃられに行った猫が無事に帰宅
せん間は無暗(むやみ)に飛び込む訳には行かん。
進化の法則で吾等猫輩の機能が【狂瀾怒濤】に対して適当の抵抗力を生ずるに至るまでは――
換言すれば猫が死んだと云う代りに猫が上がったと云う語が一般に使用せらるるまでは――
容易に海水浴は出来ん。