現在の状態が分からず、方針や見込みが立たなく途方にくれることを表す四字熟語です。
【五里夢中】は誤りです。
『後漢書』張楷(ちょうかい)伝が出典です。
後漢時代の中頃、順帝(このあたりから宦官(カンガン)が勢力をふるいはじめ、後漢滅亡の始まり)の時代に、張楷という人物がいました。学者というか妖術使いというか、官職に就くことを嫌い、山中に隠居していました。でも評価は高かったそうです。
「読み下し文」
性、道術を好み、能(よ)く五里霧を作る。時に関西(かんせい)の人裴優(はいゆう)も亦(ま)た能く三里霧を為(つく)る。自(みずか)ら以(おも)へらく楷(かい)に如(し)かずと。従ひて之(これ)に学ばんとす。楷避けて見るを肯(がえ)んぜず。
「意訳」
張楷(ちょうかい)は生来道術を好み、五里霧をを発生させることができた。同じ頃、関西の裴優も三里霧を生ずることができた。裴優は、自分の術は張楷には及ばないと思い、弟子入りしたいと思ったが、張楷は避けて面会しようとしなかった。
【五里霧中】は【五里霧】+【中】という構成になってます。
術を使って霧を発生させ、姿をくらますというのが原義です。
今は、霧の中にいるように先がまったく見えなく、どうしていいか分からない状態にいる状態を表すのに使われています。