空も水も同じ様に光り輝くことを表わした言葉です。
范仲淹の『岳陽樓(ガクヨウロウ)記』の中に出てくる四字熟語です。
岳陽楼は洞庭湖の東北岸に建つ楼閣です。黄鶴(コウカク)楼、滕王(トウオウ)閣と共に、江南の三大名楼の一つと言われています。
滕子京(トウシキョウ)が1045年に『岳陽樓』を修理し、范仲淹が『岳陽樓記』を作り、蘇子美(ソシビ)がその字を書き、卲疏(ショウソ)が篆額(テンガク)を書きました。
『岳陽樓記』は、
樓上の風景と、
これを見る人の心の憂いと楽しみは、その人の境遇によるものであることを述べ、
(国民の代表たる総理大臣をはじめとした)為政者は、
国民の憂いに先立って患い、国民の楽しみに遅れて楽しむものである。
ということを述べたものであります。
参考までに【上下天光】の前後の文章を読み下してみました。
春和し景明かにして、波瀾驚かず、
春の気候はおだやかに、景色もあかるく、洞庭湖の波もさわがず、
上下天光、一碧萬頃(イッペキバンケイ)、
空も水も互いに光輝き、万頃の広さの湖面は緑一色
沙鷗翔集(サオウショウシュウ)し、錦鱗(キンリン)游泳し、
砂浜の鷗も飛びかけまわり、美しい鱗の魚がおよぎまわって
岸芷汀蘭(ガンシテイラン),郁郁青青(イクイクセイスイ)とす。
岸のよろい草や水際のランなどが、香り高く青々としている。
『岳陽樓記』は【今日四字 No.29】にもありますように『先憂後楽』を言わんがための記の様です。