非常にばかばかしく、くだらないことを表わす四字熟語です。
【笑止】は、「勝事:ショウジ。ショウシ」の変化した言葉、当て字だそうです。
辞典では国訓となってますから日本だけでの意味です。その意味は
① ばかばかしいこと。おかしいこと。
② 気の毒に思うこと。困ったこと。
③ 笑いが止まる。笑いごとではない。迷惑。
④ 大変なこと。大事件。
などがあります。
【千万】は語の下に付いて、このうえなく、ひどい、きわめて程度が高いことをいいます。
遺憾千万:イカンセンバン。 非常に残念なこと。
奇怪千万:キカイ(キッカイ)センバン。 普段と違ってたいそう不気味なこと。
不埒千万:フラチセンバン。 このうえなく不届きなこと。非常にけしからん。
迷惑千万:メイワクセンバン。 たいへん迷惑なこと。
芥川竜之介の『邪宗門』三十一章の【笑止千万】です。
沙門はそれに又一層力を得たのでございませう。例の十文字の護符をさしかざして、天狗のやうに
嘲笑(あざわら)ひますと、
「これは又【笑止千萬】な。南都北嶺とやらの聖僧(ひじり)たちも少からぬやうに見うけたが、
一人(ひとり)としてこの摩利信乃(まりしの)法師と法力を較べようずものも現れぬは、さては
天上皇帝を始め奉り、諸天童子の御神光(ゴシンコウ)に恐れをなして、貴賤老若(キセン
ロウニャク)の嫌ひなく、吾が摩利の法門に帰依し奉ったものと見える。さらば此場に於て、
先づ山の座主(ザス)から一人一人灌頂(カンチョウ)の儀式を行うてとらせやうか。」と、
威丈高(イたけだか)に罵(ののし)りました。