自分だけの判断で、思いのままに事を行なうことを表わす四字熟語です。
【独断】は自分一人だけの考えで決断することです。
【専行】は自分一人だけの考えで行動することです。
【独】は、正字が【獨】の形声文字です。蜀が音符号で、トク・ドクの音を持ってます。
蜀は牡の獣の形で、虫(キ)の部分はその性器の形だそうです。牡の獣は群れを離れていることが
多いので、【獨】は一匹の獣の意味から、人に関していう場合「ひとり」の意味に用いられます。
【断】は、正字が【斷】の会意文字です。
左の部分は織機にかけた糸を二つに断ち切っている形。斤はその糸を断ち切った斤(おの)です。
糸を断ち切ることを【斷】といい、のちすべて「たつ、たちきる、きる」の意味に用い、また「すてる、
ことわる、さだめる」などの意味にも用います。
【専】は、正字が【專】の会意文字です。寸の上の部分は、袋を表わします。
袋の中に物を入れて、手(寸)で打って固めることを(專)といい「まるめる、うつ」の意味に
なりました。
【行】は、象形文字で十字路の形を表わし、大きな道が交差している形で、人の行くところであることから
「いく、ゆく」の意味となりました。
【独断専行】の四字熟語の使用例は、見当たりませんでした。
『史記』李斯(リシ)伝に『独断』がありました。「二世に上(たてまつ)るの書」の中にありました。
明主聖王の能(よ)く久しく尊位に處(お)る所以の者は、異道有るに非(あら)ざるなり。
明君・聖王が長期間、その位を永らく全うできるのは、特別の方法がある訳ではありません。
能く獨(ひと)り斷じて督責を審(つまび)にし、深罰を必にすればなり。
よくひとり決断し、審らかに督責(糾し責める)を行ない、必ず深刻に罰をくだすだけです。
良い意味の獨斷です。というより、むしろ李斯が二世皇帝に阿(おもね)りを込めた上書でした。