春の夜のひと時は何とも言えぬ風情があることを表す四字熟語です。
北宋の詩人蘇軾(ソショク)の七言絶句「春夜」に出ています。
春宵一刻 値千金 しゅんしょういっこく あたいせんきん
花に清香有り 月に陰有り はなにせいこうあり つきにかげあり
歌管 楼台 声細細 かかん ろうだい こえさいさい
鞦韆 院落 夜沈沈 しゅうせん いんらく よるちんちん
歌管:歌声と笛の音。楼台:高層な建物。鞦韆:ブランコのことです。院落:やしき内の中庭。
【訳】
春の夜は、値打ち千金
花は香り、月はかすみて朧
にぎわうおやしき、いま静
ブランコゆれずに 夜深々
【一刻千金:イッコクセンキン】の四字熟語もこの詩から出来たものです。
能の「田村」「西行桜」「江口」等々の詞章として【~\春宵一刻 値千金 花に清香 月に陰~~】は使われています。
弥生三月に足を入れました。値千金の春宵が待たれます。