南に伸びた木の枝の下で、栄枯盛衰の夢を見たことから、この世は儚く虚しいものであるということの喩えを表わした四字熟語です。
唐の徳宗の時、広陵というところに淳于芬(ジュンウフン)という者がいました。
家の南に大きな槐(えんじゅ)の古木があり、ある時 芬が酔ってその木の下で眠っていると、ふたりの
紫衣の男があらわれ、「槐安(カイアン)国王の御命令でお迎えにまいりました。」といいました。
芬が使者について槐の穴の中に入っていくと、大きな城門の前に出ました。「大槐安国」と金書した
額がかかっていました。国王は芬が来たのを見ると非常に喜んで娘を娶せました。
国王は淳于芬にむかって、
「南柯郡の政治がうまくゆかなくて困っているのだが、太守になってはもらえまいか。」 といいました。
芬は南柯郡に赴任し、友人の助けもあったことにより郡は非常によく治まりました。
結果、国王は芬を重んじて領地をたまわり、宰相としました。
その後、芬の身の上に様々な吉凶禍福が訪れました。
或る時、目が覚めてあたりを見渡しました。すべて夢の中の栄枯盛衰でした。
あまりに不思議な夢なので、槐の根もとを見ると穴がありました。その穴をたどってゆくと、広々としたところがあり、蟻が群がっていました。
芬は穴をもと通りに直しておきましたが、その夜大雨が降りました。翌日、穴を見ると、蟻はみないなくなっていました。
唐代の小説「南柯太守伝」の故事から、はかない夢 また、栄華のむなしいことの喩え話でした。