贅沢な生活をする心が生まれ始めることを表わした四字熟語です。
象牙の箸、宝石で作られた杯から始まって、贅沢な食事、豪華な衣服へと欲望が限りなく続き、
遂には国を滅ぼすまでに至る話が、『韓非子』喩老(ユロウ)篇にあります。
昔者(むかし)、紂(チュウ)、象箸を為(つく)りて箕子(キシ)怖る。
昔、殷の紂王が、象牙の箸を作らせたので、箕子は恐れて、
以為(おもえ)らく、象箸は必ず土鉶(ドケイ)に加えず、
こう考えた、象牙の箸なら、素焼きの土器の上にのせたりすまい。
必将(かなら)ず犀玉(サイギョク)の杯(ハイ)ならん。
必ず犀の角や玉で作った杯を使うに違いない。
象箸玉杯には必ず菽藿(シュクカク)を羹(あつもの)にせず。
象牙の箸と玉の杯なら、きっと豆や豆の葉っぱをスープにしたりはするまい。
必ず旄象豹胎(ボウゾウヒョウタイ)ならん。
必ず唐牛(からうし)や象の肉や豹の胎児といった珍味となるに違いない。
箕子の心配していた贅沢の連鎖は酒池肉林にまでいたりました。
心配から5年後、殷は滅びてしまいました。
8月4日は、8と4の語呂合わせから『箸の日』だそうです。