【深ければ厲(れい)し、浅ければ掲(ケイ)す】と訓読みされまして、
川を渡るとき、深ければ着物を高くたくしあげ、浅ければ裾(すそ)を絡(から)げて渡りなさい、と言うことからその場その場の状況に応じて適切な処置をすることのたとえです。
【厲:レイ】は、といし、とぐ、するどい、の意味がありまして派生的に「高く掲げる」の意味が生まれました。
【深厲浅掲】は詩経・邶風(ハイフウ)・匏有苦葉(ホウユウコヨウ)の詩の一節にでています。
匏有苦葉 匏に苦葉(コヨウ)有り
匏(ひょうたん)に枯れた葉有り
済有深渉 済に深き渉(わた)り有り
済川に深い渡し場がある
深則厲 深ければ則(すなは)ち厲し
深ければ衣をかかげて渡り
浅則掲 浅ければ則ち掲す。
浅ければ裾を絡げて渉る
16句、64字からなる詩です。
川辺での男女の戯れを詠った詩ですが、そのなかの【深則厲 浅則掲】の部分が【深厲浅掲】の四字熟語として独立し、臨機応変と同義で用いられるようになりました。