物事の是非善悪が紛らわしくて判断しにくいことの喩えを表わした四字熟語です。
【烏之雌雄】は、『詩経』小雅/正月のところにでています。
謂山蓋卑、
山をば蓋(けだ)し卑(ひく)しと謂ふ、
山を低いと言い募るものまでいる、
為岡為陵。
岡たり陵たる(ものを)。
(本当は)高い岡であり、陵(丘)であるものを。
民之訛言、
民の訛言(カゲン)、
(このような世間の)人々の作り話を、
寧莫之懲。
寧(なん)ぞこれを懲(いま)しむること莫(な)きや。
どうして戒めようとしないのか。
召彼故老、
彼の故老を召(め)して、
(朝廷でも)王は長老を召しだし、
訊之占夢。
これを占夢(センム)に訊(と)ふ。
夢占い師を(呼んで)諮問するが、
具曰予聖、
具(とも)に予(われ)を聖と曰ふ、
(彼らは)共に「われこそ聖人だ」といって(ゴマカシ、眞に国事を憂えるものはいない)
誰知烏之雌雄。
誰か烏の雌雄を知らんや。
烏の雌雄を知る者さえ誰も(長老や夢占い師にも)いないのだから。
いつわりの噂で政治が乱されているのに、だれひとり真偽の判断ができない、と嘆いた詩です。
2700年ほど前の嘆きです。
今も同じ嘆きです。ただ違うのは、
『民の訛言(カゲン)』が『政府の訛言(カゲン)』になっているところです。
国民は【烏之雌雄】を知っています。、