二束で三文の値段、が文字通りの意味ですが、微妙に意味の違いがあります。
売値が安いこと
もうけが出ないほどの安値
投げ売り、たたき売り
数が多くて値段が極めて安いこと
ものの値打ちが非常に低いこと
更には
人にたいして、そしりの言葉に使われたりもするようです。
二束三文で売られたものに、「金剛草履:コンゴウゾウリ」と言うものがあったそうです。
江戸初期の仮名草子『きのふはけふの物語』にでています。
藁(わら)や藺草(いぐさ)で作った丈夫で大きい草履で、農家の人の副業として作られていたそうです。
この「金剛草履」が二足で三文だったから、【二束三文】と言う説
「金剛草履」に限らず、二束(ふたたば)まとめて売っても三文にしかならない、という説。
「束」が数の単位で百を表わし、二束(二百)がたったの三文である、と言う説。
等々【二束三文】にも諸説あるようです。
また、江戸時代(1601年~1868年)の「一文」は現在のいくらかと言いますと、10円~100円の間というのが答のようです。30円~300円が三文ということになります。
有島武郎『或る女』に、【二束三文】が遺産相続に絡んで記述されています。
父の書斎道具や骨董品は蔵書と一緒に糶売(せりう)りをされたが、売り上げ代はとうとう葉子の手には
はいらなかった。住居(すまい)は住居で、葉子の洋行後には、両親の死後何かに尽力したという親類の
某が、【二束三文】で譲り受ける事に親族会議で決まってしまった。
『最後は金目でしょ』
『金目:かねめ』とは広辞苑に因りますと
1 金銭に換算した価値。値段。
2 値段の高いこと。高価。「金目の品」。
被災者を馬鹿にした発言と、とられかねません。
それを聞いた江戸ッ子なら、さしずめ
『てやんでぇ ベラボウめぇ。 てめえ何ぞ、三文の値打も あるもんか』
でしょうか。