気持ちが大きくて、小さなことにこだわらないことを表わす四字熟語です。
【豪放】、【磊落】ともに度量が大きく、些細(ササイ)なことにこだわらないことを表わしています。
【豪】は、豕+高(音符号)から作られた形声文字です。あらい毛のいのこ(やまあらし)の意味を表し、
さらに「すぐれる」、「つよい」の意味にも用いられます。
【放】は、方+攴 から作られた会意文字です。「方」は木に死者をつるした形で、邪悪な霊を祓うための
まじないとして、村の境界のところにおいて、「方」を打つ形が【放】です。
邪霊を追い払う儀礼を表わしています。
【豪放】は、気性が強くおおまかで、小さいことにこだわらない様子を表わす擬態語です。「ゴウホウ」と
読みまして、二字とも「ウ」という韻を持っていることから、畳韻(ジョウイン)の擬態語と言われて
います。
【磊】は、石を三つ合わせた会意文字です。石が重なり合った様子から、大きいの意味で使われています。
【落】は、艹+洛(音符号) から作られた形声文字です。【落】は木の葉が落ちることをいいます。
【磊落】は、心が大きく、小さなことに拘(こだわ)らない様子を表わす擬態語です。
「ライラク」と読みまして、二字とも始まりが「ラ」という子音(これを声母:セイボといいます)を
持っていることから、双声(ソウセイ)の擬態語と言われています。
【豪放磊落】は、類義の二語を重ねて、度量の大きさを強調している四字熟語です。
反対の意味は【小心翼翼】です。
【豪放磊落】にピッタリの詩人が李白です。
細かいことに拘らないで、天真爛漫な気持ちを歌ったものが多く、人の苦悩に同情するところがないのは、チョットという気はしますが、その類まれな【豪放磊落】さで補って余りあるものを、私は感じます。
杜甫の『飲中八仙歌』による李白の【豪放磊落】の様子です。
李白一斗詩百篇、 李白、一斗呑むごと、百篇の詩
長安市上酒家に眠る。 長安の居酒屋、飲みつぶれて 眠る
天子呼来たれども船に上らず、 陛下のお召し、酒、船上に上(のぼ)らせず。
自ら称す臣は是酒中の仙と。 我「酒中の仙人にございます」と。