すばらしい詩文を賞賛する言葉です。
ひとたび詩文を詠み上げるとその素晴らしさに、何度も感嘆することを言います。
【三】は、何度もの意味です。
【歎】は、は感じ入ってため息をつく、感心して褒めあげることです。
【唱】は「倡」、「歎」は「嘆」とも書きます。
本来、【一唱三嘆】は『礼記』樂記に「一唱して三嘆す」とありますように、中国の宗廟(ソウビョウ)の祭りなどで、一人が発声すると三人がこれに唱和することを表わす四字熟語でした。
のち儀礼の原義を離れて、一度歌って何度も褒める意味に使われることになりました。
北宋の蘇軾(ソショク。蘇東坡:ソトウバ)門人で咸平(カンペイ)県の副知事をしていた張耒(チョウライ)から、蘇軾のもとに作品が送られてきました。
それに対する蘇軾の返事「張文潜(チョウブンセン)県丞(ケンジョウ)に答ふるの書」に賛辞として
【一唱三嘆】が使われています。
故に汪洋澹泊(オウヨウタンパク)にして、
広々としてあっさりしており
【一唱三嘆】の声有りて、その秀傑の気は、終に没すべからず。
余韻があとまで残る、すばらしい文章であります。
1235年(文暦2年)のこの日、藤原定家の撰による『小倉百人一首』がまとまったことにちなんで、
『百人一首』の日、だそうです。