自分で自分のことを自慢する意味です。日本で作られた四字熟語です。
【手前】の広辞苑での意味は
① 自分の目の前。手元。
② その所よりも自分に近い方。 こちら。
③ 他人や世間に対する体裁。
④ 自分の手で行なうこと。
⑤ 茶道で茶をたてたり炉に炭をついだりする所作。
⑥ 自分が所有するもの、また抱えている者。
⑦ 腕前。技量。
⑧ 資力。くらしむき。生計。
があります。随分ありますね。【手前味噌】の【手前】は④に⑦を含めた意味です。
【味噌(朝鮮語からという説があります)】の広辞苑での意味は
① 調味料のひとつ。
② 特色とする点。得意に思っている箇所。
そこが味噌だ。 手前味噌。
③ 形状がミソに似たもの。カニの殻中にある内臓など。
④ 他の語につけて、あざけりの意をあらわす。
泣き味噌。
二葉亭四迷の『浮雲』第一篇・第二回 風変りな恋の初峯入(はつみねいり)上に【手前味噌】の使用例文があります。
紐解(ひもとき)の賀の済(すん)だ頃より、父親の望みで小学校へ通い、母親の好みで清元(きよもと)
の稽古、生得(うまれえ)て才潑(さいはじけ)の一徳には生覚(なまおぼ)えながら飲込みも早く、
学問、遊芸、両(ふたつ)ながら出来のよいように思われるから、母親は眼も口も一ツにして
大驩(おおよろこ)び、尋ねぬ人にまで風聴(ふいちょう)する娘自慢の【手前味噌】、
切(しき)りに涎(よだれ)を垂らしていた。
【手前味噌】は自画自賛・自慢といった意味が込められています。
講演会などで自分の業績や企業、を自慢して「手前味噌で恐縮ですが」といって堂々と自慢する時に使われます。