広く書物を読み、それらを非常によく記憶していること。知識が豊富なこと。
「博覧」は広く書物を読んで、多くの物事を知っていること。「強記」は記憶力のすぐれていることです。
【博】は、形声文字で、「ひろい、おおきい」の意味があります。
【覧】は、監と見とを組み合わせた会意文字です。監は鑑(かがみ)のもとの字です。
監(かがみ)に映った自分の姿を見ることを【覧】といいまして「みる、ながめる」の意味に
なりました。
【博覧】は、見聞の広いことを表します。
【強】は、弘と虫とを組み合わせた会意文字です。虫は天蚕(テグスガ)のことで、弦がテグスで作られた
強靱であることを表しています。
【記】は、言+己 から作られた形声文字です。音符号の「己」は糸を巻き取る糸巻の形で、
紀のもとの字です。言葉を順序よく整理して「書きとどめる、しるす」ことを【記】といいます。
【強記】は、記憶力が強い、すなわち物覚えの良いことを表します。
芥川龍之介の手巾(ハンカチ)の一節です。
先生は、由来、芸術・・・・・殊に演劇とは、風馬牛(フウバギュウ)の間柄である。日本の芝居でさへ、
この年まで何度と数へる程しか、見た事がない。・・・・・嘗(かっ)て或学生の書いた小説の中に、
梅幸(バイコウ)と云ふ名が、出て来た事がある。流石(さすが)、【博覧強記】を以て自負してゐる
先生にも、この名ばかりは何の事だかわからない。そこで序(ついで)の時に、その学生を呼んで、
訊(き)いて見た。
「君、梅幸と云ふのは何だね」
「梅幸、ですか。梅幸と云ひますのは、当時、丸の内の帝国劇場の座附俳優で、唯今、
太閤記(タイコウキ)十段目の操(みさお)を勤めて居る役者です」
小倉(こくら)の袴をはいた学生は、慇懃(インギン)に、かう答へた。
注:「風馬牛」は、遠く隔たっている、離れている と言う意味です。
春秋左氏伝僖公(キコウ)四年に、『風馬牛不相及:風する馬牛も相(あい)及(およ)ばず』の
文章がありまして、意味は、さかりのついているオスの馬や牛が、メスを追いかけるような勢いで
追っても、追いつくことができない。それほど遠く隔たっていることです。
風に「さかりがつく。さかりがついてオスがメスを追いかける」と言う意味があります。
1888(明治21)年、植物学者の伊藤圭介・数学者の菊池大麓・物理学者の山川健次郎ら25人に日本初の
博士号が授与されたそうです。これに因んで5月7日を『博士の日』と言うそうです。
論文の提出による博士号ではなく名誉博士的なものだったそうです。
論文博士は、それから3年後でした。
【今日の四字熟語】、今日5月7日で、900回になりました。あと100回で1000回になります。
この調子で、何事もなく、忘れずに続けていきますと8月15日がちょうど1000回です。