【桃を投じて李(すもも)に報(むく)ゆ】と訓読みされまして、
桃が贈られてくれば、返礼としてすももを贈り、それに報いるという意味です。
このことから、みずから徳を施せば人もこれを手本とするたとえです。
『詩経』大雅・抑篇に記載があります。
爾(なんじ)が徳を爲(な)すに辟(のっと)りて
そなたが徳に基づく姿を手本とさせ
臧(よ)からしめ嘉(よ)からしむ
善き行ないを奨励なされ
淑(よ)く爾の止を愼(つつし)み
振る舞いを慎み
儀を愆(あやま)らず
威儀を誤ることなく
僣(たが)はず賊(そこな)はざれば
(振る舞いを)違わず、損なわなければ
則(のり)と爲(な)らざること鮮(すく)なし
(みなの)手本となろう
我に投ずるに桃を以てすれば
我に桃を投げれば
之に報ゆるに李を以てす
李をもって報いよう
抑篇は、衛の武公(B.C.812~B.C.758)、周の厲王を刺(そし)り、亦以て自ら警(いまし)むるなり。
と言うことで、作られたそうです。