世の中に並ぶものが無いほど優れていることをあらわす四字熟語です。
【海内:カイダイ】は、海の内、国内、天下をそれぞれ表します。【内】を「ダイ」と読むのは、
漢音読みです。「内裏:ダイリ」の例があります。「呉音読み」の「ナイ」が多いようです。
【無双】は、並ぶものが無い、対比するものが無い、と言う意味です。
『史記』には、蕭何(ショウカ)が韓信を評して、「韓信の如きものに至りては、
国士無双なり」という記述があります
【海内無双】は、前漢・武帝の時、奇行で知られた、東方策(トウボウサク)が書いた
『客(カク)の難(ナン)に答(こた)ふ』の中にでてきます。
唇は腐(く)ち齒は落つるも、服膺(フクヨウ)して釋(お)く可(べ)からず、
唇は腐敗し齒は抜け落ちていても、学び続けて止めることがありません。
學を好み道を樂しむの效(コウ)の、明白なること甚だし。
学問を好み、道を楽しむことの効力であることは明白であります。
自ら以爲(おも)へらく知能は海内無雙なりと。
みずから知恵と能力において、天下に並ぶものはありません。
『客の難に答ふ』は客が東方策を避難しているのに対して、蘇秦・張儀の時代は戦乱の世であり、今は平時である。「時」が違うのである、と答えています。