禍(わざわい)転じて福と為(な)す、と訓読みされます。自分にふりかかった災いを上手く利用して、逆に自分に有利になるよう工夫することを言います。
中国の戦国時代後半、秦が中国を統一する50年ほど前、秦以外の6国が蘇秦(ソシン:?~B.C.317)の唱えた合従(ガッショウ)策で結ばれていました。ところが蘇秦の同級生・張儀(チョウギ:?~B.C.309)によって6国の仲間割れが起こります。
斉という国が張儀にそそのかされて同盟国燕の城を10城奪ってしまいます。城を奪われた燕王は張儀を詰(なじ)ります。
「そなたを信じて合従したのに、同盟国の斉が、我が燕に侵攻してきた。燕は天下の笑い者になった。奪われた10城をどうしてくれるのだ」
これに対して蘇秦は大いに恥じて言いました。
「王のため必ず取り戻してご覧にいれます。どうかお任せください」
斉王に謁見した蘇秦は、まず戦勝を祝福したかと思うと、すぐ続けて悔やみの言葉を述べました。
斉王が怒ると、蘇秦はいろいろと屁理屈(へりくつ)を並べたて、10城を燕に戻すメリットを解き明かします。
その時のセリフの一つが 【転禍為福:テンカイフク】です。
臣聞く、古の善く事を制する者は、禍を転じて福と為し、敗に因りて功と為す。
私は聞いています、昔から、よく事を制する者は、禍を転じて福となし、失敗によってよく功をなす。
結果、斉王は奪った十城を還し、斉と燕は再び親交を結びました。メデタシ、メデタシとなります。
ですがそれもつかの間、50年後、合従を結んでいた6国はことごとく秦によって滅ぼされ、秦の中国統一となります。
以上は『史記』蘇秦列伝のお話でした。同様の話は『戦国策』燕策にも出ています。
今日、2月9日は2と9を「ふく」と読んだり、「にく」と読んだりしまして、いくつかの記念日に指定されています。
【福の日】 「ふ(2)く(9)」 (福) の語呂合せ。
【風の日】 「ふ(2)く(9)」 (吹く) の語呂合せ。
【服の日】 「ふ(2)く(9)」 (服) の語呂合せ。全国服飾学校協会などが平成3年(1991)に制定。
【河豚の日】 「ふ(2)く(9)」 (河豚) の語呂合せ。河豚の本場下関の業者が1980年(昭和55年)に制定。
「ふぐ」と呼ばず「ふく」と発音。
【肉の日】 「に(2)く(9)」 (肉) の語呂合せ。
最後に、語呂合わせではありません
【漫画の日】 漫画家、手塚治虫の命日:1989年(平成元年)2月9日。