春風がのんびりと穏やかに吹いている様子を表す言葉です。
【春】のもとの字は、芚+日 から作られた形声文字です。屯は、織物の糸を結びとめた房飾りの
形ですが、この字の場合は、寒い冬の間閉じ込められていた草の根を表します。
それが日の光を浴びてようやく芽を出そうとする様子を表し、さらに艹が加えられました。
芚の部分が変形して、春の形になりました。
【風】は、天界の瑞鳥(ズイチョウ)である、鳳凰(ホウオウ)が起こすものと考えられていました。
甲骨文字で風を表す字は鳥の形で、鳳凰の形をしてます。
天界の霊獣をはじめ生物万般は、漢字の世界では「虫」の形をとるものが多く、
「かぜ」も鳳の字の鳥を虫に変えて、【風】となりました。
【駘】は、馬+台(音符号:タイ) から作られた形声文字です。意味は、はずれる、おろか、です。
【蕩】は、艹+湯(音符号:トウ) から作られた形声文字です。意味は、うごく、あらう、おおきい、です。
【駘蕩】は、のびのびとしたようす、のどかなさまを表す言葉です。
タ行で始まる双声(タイトウのタとト)の擬態語です。ですから、【駘】と【蕩】のそれぞれの意味を
考えて、【駘蕩】の意味を理解しようとしてもチョット無理です。
【駘蕩】が使われている詩の一部です。
遙かに顧みて天津を望み 駘蕩としてわが心を楽しましむ。 阮籍:詠懐 八十二首 六十八
朋情は以って鬱陶たり春物は方(まさ)に駘蕩たり。 謝朓:中書省に直(あた)う詩
今日は、「春分の日」です。
【春風駘蕩】には程遠いお天気です。
二十四節気の「春分の入り」で3月21日~4月4日は「春分」です。
七十二候の第十候 【雀始巢】雀 始めて巢くう。 3月21日~3月25日 でもあります。
お彼岸の中日です。