困難を乗り切るために非常な努力をすることを言います。またそういう状態にある時にも使います。
【悪戦苦闘】のすえ、勝利を得ることができました。と言うように
結果 OK の場合に用いられることが多いようです。
【悪戦苦闘】の反対語として 【善戦健闘】があります。こちらは
【善戦健闘】空しく敗れてしまいました。と言うように、負けてしまった場合に用いられるようです。
【悪】は、亞+心 から作られた形声文字です。音符号の「亞」は地下の墓室の平面形です。
そこは死者の住むところですから、生きている人にとっては快い場所ではなく、
忌み謹むべき所です。そこから「わるい」、「にくむ」の意味が生まれてきました。
【戦】は、單+戈 から作られた会意文字です。「單」は上部に二本の羽飾りのついた楕円形の
盾の形です。盾と戈を組み合わせて「たたかう・いくさ・たたかい」の意味となりました。
【苦】は、艹+古 から作られた形声文字です。「にがな」という草をあらわす字でした。
そこから「にがい、はなはだ」の意味となりました。
「劬勞:クロウ」は体を曲げて(句)、力(農具のスキ)で耕す、農耕の苦しみ疲れを表す言葉でした。
「劬」と「苦」が同じ音なので、「劬」の意味を借りて「くるしい、くるしむ」の意味になりました。
【闘】は、鬪がもとの字です。正字体は鬭で、鬥(たたかいがまえ)+斲(音符号:タク) から作られた
形声文字です。斲は刻みこみのある盾と斤とを組み合わせた字で、戦うの意味があります。
鬥 は二人が髪を乱しながら手でつかみ合って格闘する形で、争うの意味となります。
合わせて鬭は「たたかう」の意味となりました。
【悪戦】も【苦闘】も、困難な状態の中で戦うことを意味しています。
『隋書』に、短文ですが【苦闘】の記載がありました。
陵(人名:隋の軍人)、鋭を盡(つく)して之を撃ち、辰(の刻)より未(の刻)に至り、
苦闘して息(や)まず。