日本一無口な男が「ありがとう」の力を伝える「京都のたけさん講演会in郡山」は2月11日、郡山市の安積総合学習センターで開かれた。
  たけさんこと河村武明さんは「表現画房たけ」の代表を務る画家。郡山市在住の大竹茂さんが、たけさんの小冊子を見て感動したのがきっかけで講演会を開くことになった。大竹さんは、「福島のみなさんに、人生最大の難に「ありがとう」と愚直に言い続けた男・たけ、の講演を聴いてほしい」と呼び掛け、「福島ありがとうプロジェクト」を結成し、今回の講演会の開催が実現した。
　たけさんは2001年10月に突然、脳梗塞で倒れ、48時間後に救出されたものの、言語障害、聴覚障害、右手麻痺、失語症という重い後遺症が残った。
　「もう、死んだ方がましだ」という絶望が繰り返し襲う中でも、「与えられたことを感謝して受けよ」を実践しようと、この障害にありがとうと思い続け、「ほんまにムリヤリ感謝した」と語った。そして発病して2カ月経ったある日、残った左手で絵が描けることができた。絵と詩を表現し始め「表現者たけ」の誕生だ。
　高島屋百貨店での個展をはじめ、新聞やテレビ、雑誌などの取材も相次ぐ。2003年６月にはフジテレビ『奇跡体験！アンビリバボー』に出演、同年10月には飛鳥新社より初の著書『ほっこり生きよう』を出版した。現在は、全国での個展、「ありがとうのパワー」を伝えたいという気持ちとともに小、中学校などでの無料の“無口な”講演、企業広告、雑誌の連載執筆など活動の輪は広がっている。
　たけさんは、「不思議な「ありがとう」のチカラ」と題してスライドと体で表現しながら講演した。「この困難で先が見えない福島の中でも、「難」があるから「有難う」、「福島の方々にありがとうの力と、日常の中で当たり前と思う事は実は当たり前ではないこと、そして感謝の大事さを伝えたい」と、愚直なまでに「ありがとう」を言い続けた自分の生き様を伝え、会場には感動と笑顔があふれた。