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コラム・筆は一本也

「使い分けは困る」

早いもので、3日は旧暦の大みそかにあたる「節分」。翌4日は春の初日とも言える「立春」を迎える。春は名のみ、とは言うものの、日一日と日差しものび、春の足音も一歩一歩近づいてくる。野辺の花々を愛でながら、近くの阿武隈川の土手沿いなどをのんびりと散策したいものだ。

▼それにしても、今年の冬は雪が多い。会津地方を中心に除雪費が底をつく自治体も相次ぎ、冬の誘客と併せて悩ましいところ。「白魔」に脅かされるのは仕方がないとしても、目に見えない「魔の手」だけは勘弁こうむりたい。そして、このところの積雪の影響で停滞しているのが、除雪ならぬ除染だ。

▼積雪のため、山林野をはじめ住宅の除染は冬眠状態。雪の恩恵にあずかるスキー場はよいとしても、国や東京電力にひと息ついてもらっては困る。国は「環境放射能が低下している」などと判断しているらしいが、ふざけたことを言ってはいけない。環境放射能の低下の最大要因が降雪であることは当たり前。それなのに、分かりきったことを平気で口にする神経。厄介な人たちだ。

▼放射性物質汚染対処特別措置法では、除染の基準となるのが毎時0・23マイクロシーベルト(空間線量)。同法によると、1月30日の福島県内の主要数値で基準を下回っているのが、いわき、南会津、会津若松、白河などの各市町。雪が解ければ、今度は線量が上がるのは目に見える。腰の据わった施策がなければ、いつも右往左往するのはわれわれ一般市民だ。

▼こうした中で、東電は特定避難勧奨が解除された伊達市と川内村の129世帯の精神的賠償を今年3月分で打ち切ることを決めた。国の給付審査会の中間指針に基づくものというが、それなら住環境の最大の障害となっている除染も国の指針通り、徹底的に実施したらいい。都合のいいことだけを進める姿勢は、原発事故以来、嫌というほど見てきた。ダブルスタンダードのような国の福島復興再生総局と東電の福島復興本社の存在も気になる。【天下無双】
                     (2013・1・31)
 

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