福島県の中央部にある郡山市は、東北地方では仙台市に次ぐ、経済・都市基盤を持つ。県内東西南北の交通の要衝にあり、「人」「もの」「情報」が行き交う経済県都でもある。東日本大震災における住家被害は、全半壊戸数が約2万4千戸（り災証明ベース）と、仙台、いわき、石巻市に次ぐ被害を受けた。内陸都市としては最大の被害だった。市では現在、震災、原発事故からの復旧、復興に全力で取り組んでいる。
　2014（平成26）年は、総合的技術開発の研究機関「産業技術総合研究所（産総研）」の再生可能エネルギー研究所が開設、新しい産業分野の構築に大きな期待がかかる。原発事故による放射線からの健康管理にも力を入れ、学校校庭などの表土除去の除染に独自にいち早く取り組んだ。こうした安全安心なまちづくりで、「第７回マニフェスト大賞」の震災復興支援・防災対策優秀賞を受けた原正夫市長に、これからの市政方針を聞いた。
 

　＜市民生活の再生＞

 　― 震災発生からまる2年を迎えようとしているが、郡山市はこの間、震災からの復旧や除染、風評被害払しょくなど、放射能対策をはじめとする多くの課題に取り組んできた。今後どのような取り組みを考えているか。
 
「昨年を、『復興元年』『除染活動元年』と位置づけ、震災復旧および原子力災害対策などに全力で取り組み、復興への確かな歩みを感じている。さらに今年は、除染などの放射能対策をはじめ、復興に向けた喫緊の課題などへ積極的に対応するため、『震災復興・放射能対策推進事業』として、各種施策に取り組み、震災以前にも増して、活力に満ちたまちづくりを進めてゆく」
 
　― 医療・福祉・子育て環境の充実を図る中で、将来を担う子どもたちの育成が重要。その一つに地域ごとに安心できる遊び場や集える場を確保する必要性が挙げられるが、公民館などの施設のフル活用ができないか。
 
　「安心できる遊び場の確保としては、『ニコニコこども館』をはじめ、公共施設の無料開放や大型遊具の市内巡回、小、中学校の体育館や公民館などの活用も行っている。さらに、震災後いち早く、東北最大の屋内遊び場『ペップキッズこおりやま』を開設した。昨年は約35万人が利用され、そのうち3割が市外からの親子の皆さんだった。いかに有効に活用されているか分かる。
これからも、子どもたちの健康日本一を目指し、屋内の運動場や遊び場、子どもから高齢者まで利用できる全天候型プールなどの施設整備を進め、市民が安全で安心して運動などができる環境の確保に努めてゆく」
 
　― これにより、指導員らの確保が必要となってくると思うが、定年を迎えた熟年者らをサポーターで募り、ゆくゆくは３世代交流、地域活性を図れないか。
 
　「現在、子育てボランティアを養成し、ニコニコこども館や地域子育て支援センターでボランティア活動を行っている。また、保育所地域活動事業として、世代間交流や運動会、夏祭りなど、地域住民との交流を図っている。市内北部、西部地域にも子育て支援の拠点となる施設を整備して、子育て環境のさらなる充実を図り、地域の活性化にもつなげたいと考えている」


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