SF、ミステリーから歴史もの、教育論まで幅広いジャンルの執筆を手掛ける作家清水義範さん（65）の講演会が1月20日、郡山市の被災者仮設住宅・おだがいさまセンターで開かれた。被災者を支援活動するNPO法人フクシマ未来戦略研究所（星亮一理事長）の主催。
　清水さんは学生時代に「冒険狂時代」を発表、その後、作家を目指して上京し、1981年「昭和御前試合」で文壇デビュー。作家になる夢を10年かけて実現させた。
　ジャンルを問わず何でも書ける器用さから、新人賞は軒並み落選。なかなか芽が出ず、“師匠”の作家半村良さんからは「かすれの清水」とあだ名されたほど。半村さんとは学生時代の同人誌を通じて文通が始まり、半村さんが亡くなるまで交友が続いた。
　この日は、被災者のみなさんへのメッセージ「夢は持ち続ければ必ず叶う」と題して講演。清水さんは「江戸っ子気質で世話好きな半村さんとの運命の出会いがあったからこそ今の自分がある」と述べた。芽が出ず、落ち込んだり、傷ついたことなどに触れ、それでも作家になる夢をあきらめなかったことを、ユーモアを交え淡々と語った。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◇
　清水さんは名古屋市生まれ。愛知教育大卒。「蕎麦ときしめん」で注目を浴び、88年「国語入試問題必勝法」で吉川英治文学新人賞を受賞した。92年「柏木誠治の生活」が直木賞候補作となった。作風模倣のパスティーシュ小説で著名。
　主な著書に「50代から上手に生きる人 ムダに生きる人」「会津春秋」「いい奴じゃん」「清水義範のイッキによめる!日本史人物伝 古代編」など。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2013・1・21）