震災と原発事故に伴い、富岡町からいわき市四倉町に移転した桂建設と協力会社でつくる桂和会は1月12日、2年ぶりの合同新年祝賀会をいわきワシントンホテル椿山荘で開いた。
　原発事故により同社も社員全員が県内外に避難し、会社は存続の岐路に立たされた。社長の渡邉正義さん自身も埼玉県などに10日間ほど避難したが、それでも「社員を路頭に迷わすわけにはいかない」と、妻の実家のある四倉町に足を運び、会社再建のための物件探しに奔走。運良く現在の物件が見つかり、交渉を重ねて会社の全面移転がかなった。その間、社員の給与などを継続支給するため、銀行から融資を受け、これまで通りの支給が続けられた、という。
　社長や社員たちは「自分たちはほかの地域から来てこの地でお世話になるのだから、自分たちの従来の枠内での業務に徹しよう」と心に決め、「無理な参入などはせず、共存していきたい」と話す。さらに、社業の建設業を通じて復旧、復興に貢献したい、と志す。
　同社は地域とのかかわりも大切にしている。地元商店街の夏祭りでは、会社の玄関前をメーン会場として提供したり、社員総出で子どもたちへ風船のプレゼントや、くじ引きなどの出店を出すなどして地域貢献している。
　会社で使う用品はすべて地元商店から購入する、という基本姿勢で臨むなど、地元への還元に意を注ぐ。業務用駐車場も多数契約し、社員のほとんどは同町に在住。こうした面からも地元貢献に協力。
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　新年会には、社員と家族、協力会社などから約80人が出席した。2年ぶりの新年会のため、県内各地に避難している家族も呼び寄せた。
　石井卓常務の開会あいさつに続き、渡邉社長が「3.11からきょうで674日目、２回目の新年を迎えた。先が見えないが、目標を定め1歩ずつ進めて行こう」と、震災当時の厳しい状況を振り返りながら社員に力を合わせていくことを訴えた。協力会社・桂和会会長の前司正一伊達重機・ホテルなみえ社長、桂和会顧問の宮本皓一富岡町議会議長らのあいさつのあと、祝宴に入った。
　アトラクションでは、チーム「レオ」の父親と息子による漫談・小噺（こばなし）、マジック・パフォーマンスやフラダンスショー、バルーンアーム、ビンゴ大会、じゃんけん大会、子どもたちへのプレゼント、同町の渡辺長一さんによる大黒舞の披露、紅白もちの振る舞いなどがあり、社員、家族たちは避難生活の苦労をしばし忘れて大いに盛り上がった。
　避難生活している家族も久しぶりに集まり、再会を喜びながら談笑した。最後に同社建設部長の林安雄さんが締めのあいさつを行い、これからの精進を誓った。
 

　　□商店街のもちつきにも協力

 
　昨年12月26日には、四倉町仲町商栄会主催の暮市餅（もち）つきが同商店街通りで行われ、大勢の地区民が楽しんだ。正月用品などを販売する恒例の暮市だが、５店が参加。
　もちつきは桂建設の正面玄関前を借りて行われ、ついたもちは、あん、きなこ、甘辛のりもちにし、買い物客らに配った。
　地区民たちは快く場所を提供してくれた同社の好意に感謝していた。

　　　　　　　（2013・1・15）