正月も半ばを過ぎ、再び日常の生活が始まった。抜けきれぬお屠蘇（とそ）気分を一気に吹き飛ばすかのように、列島各地は今週初め大雪に見舞われた。新聞には「都心の交通網、弱さ露呈」「空も陸も足止め」等々の見出しが躍っていたが、しかし、こうした事態は少なからず想定できたこと。それでも「東京に大雪が降れば一大事」とばかりに、相も変わらぬ報道が目立った。
 
▼荒れに荒れた「爆弾低気圧」だったが、気象庁の予報担当者が予報はずれの事態を陳謝するという一幕があった。気象予測は担当者の分析力にもよるが、何せ人智の及ばぬ自然相手だけに予報外れは許容範囲と言っては言い過ぎか。見当外れ、想定外と言えば、それこそ東京電力福島第一原発の爆発事故だ。事故原因の究明は、政府（当時の民主党）、国会、民間など各事故調で検証し、明らかにされてきたが、今後は自民党による事故調の速やかな検証を望みたい。
 
▼さて、福島県内の11市町村では国直轄による除染作業が行われている。一時に比べて放射性物質が低減したとは言っても、地域によってはまだまだ住環境には程遠い。こうした中、町のほぼ全域が帰還困難区域となっている大熊町では、実家に立ち寄るどころか、先祖を弔う墓参さえもできない状況。このため、町は国に墓地の早急な除染を要請した。
 
▼自民党の安倍内閣がスタートして以来、政策実行が矢継ぎ早にスピード感を持って着手されているかに見える。関係閣僚が相次いで本県や被災地を訪れていることからもわかるが、しかし、パフォーマンスや口先だけではだめだ。衆寡はムーブメントに乗りもするが、政治家の働き、所作は冷静に見ている。【天下泰平】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2013・1 ・17）