白河市の小峰城の復興と歴史まちづくりをテーマにした「歴史まちづくり講演会」が12月4日、同市立図書館で開かれた。震災で崩落した城の石垣や、町屋などの歴史的建造物の保存継承が狙い。

講師は東北芸術工科大准教授の北野博司さん、東北工業大教授の高橋恒夫さん。北野さんは「小峰城石垣の歴史的価値と復興」、高橋さんは「歴史的建造物の保全と歴史まちづくり」と題してそれぞれ講演した。

北野さんは、小峰城（国指定史跡）が東北では珍しい石積みの城であることを指摘した上で、「土手を城壁にする城が多い中、小峰城の石垣は歴史的価値の高いものである」とした。今後は「国の調査・修復により、崩壊の要因となったメカニズムや石垣の断面的構造が明らかになるだろう」と話した。

高橋さんは、歴史的建造物の多い街並みの保存などを進言した。旧奥州街道などに面した場所には、袖蔵の多いことにも注目。江戸時代の大火（500～700軒の家屋が焼失）を機に、主屋を防御するために造ったとみられると指摘した。

小峰城は日本100名城の一つ。南北朝時代1340年の築城で、1632年には天守構造の三重櫓（やぐら）などが築造。戊辰の役で焼失し、1991年に三重櫓、太鼓櫓、門が木造復元された。今年３月の大震災では、城の入り口正面の石垣が幅約10㍍にわたって崩れ落ちるなど、石垣全体で10カ所が崩壊した。文化庁の指導で今後、修復作業に着手するが、完成までには5年～7年はかかるという。