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復興への思い

「自然に謙虚に、学び、生き、発展する力」 京都大学防災研究所研究員・木村直子

京都大学防災研究所研究員・木村直子

【略歴】滋賀県出身。英国ロンドン大学教育研究所修士課程修了。京都大学防災研究所研究員(産官学連携)。財団法人国際湖沼環境委員会調査研究課主幹を経て、2010年11月より現職。SATREPSプロジェクトにおいて洪水災害に関する住民意識に関する調査研究および地理情報システムによるハザードマップや気象水文解析等の研究補助を担当。専門は持続可能な開発のための教育、流域管理と住民参加、ジェンダー。水・教育・ジェンダーを柱に、変わりゆく社会や時代の潮流における、住民参加の在り方、人間活動と自然環境のより良い共存について研究活動を行う。国際開発学会会員、日本国際理解教育学会会員、日本地球惑星科学連合会員、水文・水資源学会会員。NPO菜の花プロジェクト会員、NPOびわこ豊穣の郷会員。趣味:自転車(ロードレーサー)、読書、装道(和装・着物)

 ■木村直子・京都大学防災研究所研究員 2012年4月、福島県須賀川市で開催された「第12回全国菜の花サミットinふくしま」に参加しました。そこで出会った人たちは、地域のことを一生懸命に考え、行動していました。にこやかな笑顔と真剣な眼差し、故郷や地域への深い愛情と情熱を、私は体全体で感じとり、「大丈夫、必ず見事に復興する!」という思いを強くしました。サミットでの小学生たちの合唱、高校生による宣言は、今も鮮明に覚えています。それらに接した時、いたく感動し、涙を堪えることができませんでした。ひたむきに、前向きに活動する姿を見、逆に元気をいただきました。折しも、桜の花真っ盛りのころ、会場前を流れる釈迦堂川の堤防には満開の桜と色とりどりの鯉のぼりが、青天の下で春爛漫をおう歌しているようにも見えました。川沿いを散歩する人の語らい、親子の笑顔、小鳥のさえずり…。そこに少なからず我慢や不安を抱えながら暮らす人たちがいるとは信じがたいほど、穏やかな情景を目の前にし、さまざまな思いが頭の中を駆けめぐり、複雑な気持ちを覚えました。
 
□ クロアチアで災害プロジェクト

  現在、私はクロアチア共和国での洪水や土砂災害に関するプロジェクトに携わり、洪水などの災害に関する住民意識の調査と地理情報システム(GIS)を使った解析などの研究を行っています。クロアチア共和国はバルカン半島北西部に位置し、1991年に旧ユーゴスラビア社会主義連邦共和国からの分離独立を宣言、激しい内紛を経験した背景を持つ国です。人口約430万人。面積約57,000㌔平方㍍(北海道より少し小さい)。首都はザグレブ(人口約80万)。社会情勢は落ち着いており、社会経済発展も達成し、来年2013年には欧州連合(EU)への正式加盟が決定しています。クロアチアの人々は私の個人的な経験の範囲において、自国を大切に思う気持ちが非常に強く、また楽天的で少々大雑把(ざっぱ)なところもありますが、議論好きで、よく食べ、よく飲み、よく笑います。一日の始まりが早く、平均出勤時間は朝7時半。その代わり午後4時ごろには仕事を切り上げて、夕方以降は家族や友人との個人の時間を充実させます。


  □「助け合いの心」が強い人々

  クロアチアで自然災害として人々の頭に思い浮かぶものと言えば、まずは地震ではないでしょうか。事実、クロアチア全土を見渡した場合、過去に幾度か大規模な地震が発生しています。また、中学、高校の地学で出てくる「モホロビチッチ不連続面」を発見した地震学者のアンドリア・モホロビチッチ(Andrija Mohorovičić)はクロアチア出身です。
 私が現在調査を行っているのは、首都のザグレブ市のみですが、全体的に(年代・性別を問わず)楽観的な捉え方と不安の両方を抱えている方が多いようです。「どんなに準備していても災害が起こった時は起こった時。なるようにしかならない」という運命論的な考えや、「何年も大災害なんて起こってないからきっと大丈夫でしょ」という考えを持つ一方、「実際のところ、具体的に何をどうすべきかほとんど知らない。わからない」といった意見が多く聞かれます。行政によって啓発パンフレットやウェブサイトでの情報提供がなされてはいるものの、緊急避難時の行動に関する具体的な知識や訓練の経験をほとんど持たない人が大半です。
 唯一、そうした災害に対する意識または知識が比較的確立されているのは、内紛の時代を経験した世代の人たちです。その世代の人たちは、助け合いの心(日本国内で言われる「共助」に似た精神)が強く、身近なもの同士で助け合うことの大切さを、身をもって感じています。ある婦人は、「大変なときこそ助け合わなくては!自分の財産なんかより、まず皆で命を守ることが先よ」と強く、はっきり述べています。

   □原発を抱え、課題が重なる
 
 実は、ザグレブ市中心部からわずか約40㌔のところにクルスコ(Kruško)原子力発電所があります。この原発は隣国スロベニア共和国との共同所有になっており、発電量の50%がクロアチアに供給されています。この電力供給を受けているザグレブ市周辺では大規模な地震の発生は少ないですが、小規模~中規模程度の地震は過去に何度か記録されています。
 人口約80万を抱えるザグレブ市の電力需要を支える原発の存在、EU加盟に向けたさらなる経済発展、安全な暮らし、そして地球環境への配慮など、電力を取り巻く状況と課題は、今の日本のそれと妙に重なって見えます。現地へ行くと、福島のことについて質問を受けることがあります。彼らが知る「FUKUSHIMA/フクシマ」は報道によるものですが、私は彼らに、「福島」についてもっと知ってもらいたいのです。そのためにも福島の人たちや文化風習、歴史をもっと知りたいし、知る必要があると思います。

 □自然への畏敬と人の力が重要


 これまでの調査研究や多様な文化的背景を持つ人たちとの学術交流や私的な交流を通して、今思うのは「自然への畏敬(いけい)の念」と「人の力」が重要な鍵を握るのではないかと考えています。人は自然からの恩恵を受けて生きています。そして人は時に自然の威力の前に無力でもあります。自然界の「一要素」としての認識を持ち、震災からの復興も、経済社会発展に向けた人間活動も展開してゆく必要があると思います。自然の前に謙虚であってこそ、有効的あるいは友好的な自然の力の活用、復興や緊急時への心構えが可能になるのではないでしょうか。そして、どれほど技術革新が進もうとも、やはり人にしか果たせない役割があります。人間は環境や状況に順応してきました。考えて行動し、創造する能力、生き抜く力が備わっているのです。
 人が人として発展するには、やはり広い意味での教育が欠かせません。どうすればより多くの人に、次の世代に、長期的な視野で人間活動と社会経済の発展、地球環境保全の良好なバランスを保つことへの意識が啓発され、緊急時への日常の備えの行動につなげてゆけるのか。その過程には地域性や社会的文化的背景も絡んできます。私はあらためて教育とその在り方や方策の重要性を強く感じ、今後の研究への気持ちを新たにしています。


  □福島復興への一助となれることを

 震災からはや1年10カ月を過ぎ、震災発生後に泥かきや漁具整備のボランティアに足を運んだ日、菜の花サミットに参加した日のことが、つい先日のようにも随分前のことのようにも思い出されます。近ごろは、研究活動を継続してはいても、現地へ足を運べず、遠いところから思いをはせることしかできていない自分自身に対する無力感や焦燥感を感じてもいます。しかし、微力ではあっても、自分なりにできることを模索し続け、より多くの方に福島を知ってもらえるよう努めたいと思います。私は自転車(ロードレーサー)に乗るのが好きなのですが、これからひと頑張りして体力強化と走行体勢の再構築を行い、近い将来、猪苗代湖で開催されるトライアスロンレースに参加できれば…なんて夢みてもいます。そうしたことも含め、また福島を訪れ、福島の皆さんとふれあい、分かち合い、福島の復興への一助となれることを願ってやみません。

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