多党乱立による衆院選も16日の投開票まであと4日。そんな中、中日新聞（12月5日付）が、優勢が伝えられる自民党の支持者が回答した2つの“矛盾”を取り上げていた。記事によると、＜比例で自民党に入れるとした人の3割弱が、「憲法九条」の改訂には反対だと答え、実に半数近くが、将来的な「原発ゼロ」を求めているのである。言うまでもないが、自民党は九条を変える、と宣言している。そして、原発は維持していく立場だ＞

▼そうした矛盾の理由のひとつとして、＜その党の主張をよく咀嚼（そしゃく）せず、「何となく」投票先に決めているパターンだ。…あまりに危険である＞としている。まったくその通りである。結びに、＜「何となく」は禁物だ。この国の行く末、子どもらが生きていく国のありようを決める投票。そう考えれば、こんなに怖い選挙はない＞と。
 
▼それにしても、選挙公報が遅すぎる。新聞折り込みで届いたのは、福島県の場合だと12日朝。期日前投票はとっくに始まっているのに…。候補者の公約を見れば、政見には当然ながら利点しか明記されず、今さらながらどうでもよい。公約違反で何かと風当たりの強い民主党だが、これまでは自民も公約違反、公約無視を繰り返してきた。この点では「民自」似たり寄ったりの感だ。
 
▼さて、新聞、テレビなどマスコミ各社の世論調査によれば、自民が単独過半数に迫る勢いで、民主がこれを追い、何かと話題の多い第3極が予想外に低迷。または、3極の日本維新の会が民主と2番手争いといった流れが大方の分析だ。12党による乱戦も、公約や政策は五十歩百歩。その中にあって自民はまさに“漁夫の利”の体で、国民の大方の願いである「脱原発」「卒原発」は埒（らち）外に置かれてしまっている。当然、民意を反映せずの選挙だから、「怖い選挙」になってしまうだろう。【天下無双】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2012・12・12）