9月に福島市で開かれた東日本被災地支援の「ふれあいオパールコンサート2012」。出場団体の中で、高齢ながらひと際魅力を放った合唱団があった。白河市を拠点に活動している「たのしい歌声クラブ」（内藤美智子会長）。
　たのしい歌声クラブは、団員の平均年齢が70歳強。しかし、同コンサートの出場19団体の中では、確かな音程とあふれにじみ出る音楽性で聴衆の心をしっかりつかんだ。
　会場からは「齢を重ねても、あのようになりたい」「どうしてこんなに正しい音程で歌えるのか」「お手本にしたい団体だ」などの感想も聞こえてきた。
　練習会場は白河市天神町に市中央公民館。指導にあたっているのが　吉田うた（88）さんだ。ドアをノックすると、真っ先に目に入ったのが団員たちのキラキラした笑顔。60～91歳までの77人団員たちがつねに練習をともにしている。70歳以上が多い合唱団とはとても思えないはつらつぶりだ。最高齢の91歳の女性も車いすながらはつらつと歌っていた。　　　　　　　　　　　　　　　
　今年で20周年を迎えた、たのしい歌声クラブ。発足当初から指導にあたってきたのが吉田さん。「大正生まれで、音楽を特に勉強したわけではない」と照れる吉田さんだが、2005（平成17）年に同クラブを「いきいき長寿県民賞」受賞に導き、07年には内閣府の「エイジレス・ライフ実践者」の表彰を受けた。
　練習では「夏の思い出」など数曲を歌い上げたが、吉田さんの動きが実に素晴らしい。50代の人の動きに勝るとも劣らないフットワークの良さだ。
　見ていても楽しい指揮である。団員たちは自然と笑顔になってしまう。このあたりに、この合唱団の魅力の秘密があったのかと、妙に感心した。チャーミングな指揮で人を和ませ、このように活動したいと思える手本のような合唱団。文字通りオパールコンサートにふさわしい団体、団員たちだった。（H・A）
 

 【オパールとは】Older People with Active Lifestyles（活動的なライフスタイルを行っている高齢者）の略語（ＯＰＡＬＳ）で、アメリカで作られた新語。宝石のオパールにも意味を持たせており、「宝石のように光り輝く世代」という願いから名付けられた。