県内企業の経営を後押しする「ふくしま産学官連携フェア＆特許ビジネス市」（県、県産業振興センター、県発明協会主催）は11月16日、郡山市で開かれ、知的財産権と事業戦略をテーマにした基調講演のほか、地場企業の技術や支援事例が紹介された。
　基調講演は、開発プランナーで企業の技術顧問を務める多喜義彦さん（システム・インテグレーション社長）が「知的財産権を利用した中小企業の事業戦略」と題して講演した。
　多喜さんは、支配的なものの見方や考え方であるパラダイムシフトの転換や顧客の価値観が変化している現実を踏まえ、新しい価値の創造を提案。顧客との直接ビジネスにおいては「諸事万端がインターネットの時代であり、モノからコト、そしてコンテンツの時代である」と強調した。とりわけ知的財産は重要になり、「新しい使い方や戦略でイニシアチブを取るものが主流になれる」とした。
　技術、支援事業では、県内企業3社が取り組みを発表した。コンド電機（浅川町）社長の近藤善一さんはガス発電搭載の2人乗り電気自動車の開発、門馬工業所（南相馬市）社長の佐々木哲男さんは産学官連携による技術開発（業務用厨房機器の部品・製品）の取り組み、ゆめサポート南相馬技術支援員の山崎正典さんは足漕ぎ車いすの高機能化をそれぞれ紹介した。
　リハビリを兼ねたペダル式の足漕ぎ車いすは、15年前に東北大との医工連携で開発。その後、ゆめサポート南相馬の技術者2人が福島大の技術シーズを活用しながら改良を重ね、震災から1カ月後の昨年4月に完成させた。
　従来の車いすに比べ、狭い場所での小回りの利く方向転換や斜面走行が可能となった。
　1台40万円前後で、介護保険適用なら月約2000円でリースできるという。
　▽ゆめサポート南相馬（南相馬市原町区、電話0244-25-3310）
　▽門馬工業所（南相馬市鹿島区、電話0244-46-3044）
　▽コンド電機（石川郡浅川町、電話0247-36-3400）