ごくごく普通の日本語能力では、法律や裁判用語は解釈できぬものらしい。どうともとれるようにあえて玉虫色にしている、という話を聞いたことがある。玉虫色の話ならまだしも、「原発から飛び散った放射性物質は（すでに）東京電力の所有物ではない。したがって東電は除染に責任を持たない」。

▼その論拠を「もともと『無主物』であったと考えるのが実態に即している」というから、驚きだ。これは、二本松市のゴルフ場が汚染の除去を求めて東京地裁に仮処分を申し立てし、それに対する東電側の主張と答弁書である。仮処分はその主張通りとなり却下。いい加減にしろ、何をか言わんやである。

▼「鉄面皮」君、福島県民はもう言葉も涙も出ないよ。これからは国民ひとり一人が責任逃れよろしく、これは「無主物」、それも「無主物」、あれも「無主物だろ」となるのか。「無責任男」の本家本元である故植木等さん（歌手・俳優）も墓場の陰できっと嘆いていることだろうよ。「無責任」をもっとしっかり勉強しろと。

▼そういえば、前福島県知事の汚職事件をめぐる高裁の判決がふるっていた。「収賄ゼロの収賄罪」というから、またまた難しくなってくる。それだから司法試験が難関なのかもしれない。最近は過払金解消と、かつての消費者金融の広告さながらに目立つ弁護士業界。市井の冗談ではない率直な思いである。【笑止千万】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2011・12・6）