郡山市を中心とした異業種交流団体・MBA21は11月2日、現代中国、アジア問題の専門家で早稲田大大学院アジア太平洋研究科教授、天児慧（あまこ・さとし）氏（65）を講師に迎えた緊急例会を開いた。
　尖閣列島の領有権問題を機に険悪な関係にある日中間の分析と関係改善が狙い。天児氏は「岐路に立つ日中関係をどう考えるか」と題し、尖閣問題と暴動のリスク、領有権に関する理解、新政権下における対日戦略をどうみるかなどについて言及した。
　中国側が尖閣領有権を主張する意図を①海外資源をめぐる経済的利益②中国共産党による国家主権の鼓舞③アジア太平洋地域における海洋戦略の膨張などとして挙げ、分析した。結果、見えてきたものは、「日中の相互認識と相互理解の浅薄さであり、中国人の戦後日本理解の欠如だ」と指摘した。一方で、「中国人の反日感情は一枚岩である」とした。
　習近平新政権下での対日戦略は、「尖閣をめぐる事態を自国有利と見なし、毅然としたアプローチで臨んでくるだろう。日本のプレゼンスの低下も認識している」とした。
　こうした中で日本は「（米国など友好国に）既得権益を脅かす問題であると訴えていかなくてはならない」と現状分析し、今後の展開は「台湾がカギを握っており、馬英九提唱の＜東シナ海平和イニシアチブ＞に乗る必要があるだろう」とした。対中国におけるベトナムやインドネシアとの緊密関係を重視していく必要性も提言した。
　天児氏は岡山県生まれ。早稲田大教育学部卒。青山学院大教授、アメリカン大客員教授などを経て、朝日新聞書評委員に就任。