郡山市の大安場（おおやすば）史跡公園は12月3日、同市文化財調査研究センター管理・調査課長の押山雄三さんを講師に迎えた第1回歴史講座を開いた。押山さんは守山城跡三ノ丸１号墳の発掘調査報告を兼ね、「守山城跡で発見された古墳」と題して講演した。

中世（戦国時代）末期とされる守山城跡＝郡山市田村町守山＝の発掘調査は2000（平成12）年度に着手し、第5次調査区からは円墳（１号墳・円墳部の直径21㍍）が検出された。6世紀のものと推定される埴輪の断片のほか、石棺から太刀（たち）、須恵器（すえき）、耳管（じかん）、勾玉（まがたま）などの副葬品が出土している。

１号墳に関しては、円墳部分のみが検出され、前方部は国道49号の下部にあるとみられる。出土品や遺構など状況から、押山さんは「前方後円墳の可能性が高い」と指摘した。さらに同古墳の発見により、「古墳時代後期の郡山盆地には、阿武隈川をはさんで二つの政治勢力があったと考えられる。勢力も東（田村）から西（安積）へと移っていった時期でもあった」との見解を述べた。

また、５世紀ごろの古代安積は「阿尺国造」と言われ、会津地方も範囲にした東北ナンバー２の行政規模だった可能性もあるとした。

押山さんは約100人の考古学ファンを前に、清水台遺跡（安積郡役所）や郡山台遺跡（安達郡役所）、田村地方の寺社とのかかわりも含めてわかりやすく説明した。

　■25日まで守山城跡古墳・麦塚古墳展

大安場史跡公園は12月25日まで、守山城跡で発見された古墳と麦塚（ばくつか）古墳の展示会を同ガイダンス施設で開いている。守山城跡から出土した須恵器や勾玉、麦塚古墳（安積町柴宮地区）から出土した金属製の耳環、鉄鏃、太刀、鍔（つば）などを写真パネルとともに展示している。

パネルの説明によると、①阿武隈川東側にも後期の埴輪を持つ古墳があった②それは西側の麦塚古墳とほぼ同時期に造られた③以上から古墳時代後期の郡山盆地には阿武隈川をはさんで二つの政治勢力があったーとしている。

問い合わせは、大安場史跡公園（電話024・965・1088、http:/www.bunka-manabi.or.jp/oyasuba）へ。

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　大安場古墳は、古墳時代前期後半（4世紀後半）ごろに築造されたと推定される東北地方最大の前方後方墳（国史跡指定、全長約８３㍍）。古墳群は前方後方墳1基と円墳4基からなる。1号墳には貴重な腕輪形石製品はじめ、武器、農工具が副葬されていた。