再生可能エネルギーによる「ロハスの家」をテーマにした、ふくしま復興支援シンポジウムが郡山市で開かれ、環境問題を含めたグローバルな視野でふくしまの未来像を考えた。郡山市の異業種交流団体・ＭＢＡ21が主催した。
　環境と健康に視点を置いたロハス（Lifestyles of Health and Sustainability）工学は、郡山市の日本大学工学部工学研究所が東日本大震災以前から持続可能な生活スタイルの実現に向けて研究、教育を進めてきた。
　基調講演では、日大工学部機械工学科教授で東北大学名誉教授の加藤康司さんが、再生可能エネルギーと再生可能材を取り入れたロハスの家づくりを、世界の最先進県となりうる本県の重要なキーワードとして話した。
　世界的環境汚染と資源枯渇を踏まえ、「第3次産業革命（再生可能エネルギー、再生可能材、インターネット）とされる、自然と共生できる国づくり、持続可能な社会基盤づくりを急ぐべきだ」と強調した。地球温暖化が進むことで、「（未知のウイルスなど）複合効果が現れ、ドミノ現象も始まる。（基盤がぜい弱な）大都市は住めなくなり、弱きもののスラム化となる恐れある」と警告。人類のキーワードとなる持続可能な産業や健康増進維持の産業は「すべてがインターネット産業と結びつくようになる」とした。
　加藤さんは工学博士の立場だけでなく、歴史と未来図（1600年～2060年）を５つのカテゴリーに分けて将来を予測。それによると、2010～2060年は資源枯渇と環境崩壊の50年で、日本などの資源輸入加工立国のシナリオは崩壊。生物種は激減、地球の危機を迎えると指摘した。こうした危機を打開するには「地球のため、健康で持続可能な生活スタイルの実現しかない」と説いた。
　加藤さんは東北大工学部卒。NASA学術研究会議研究員、東北大工学部教授、リーズ大学（英国）客員教授、西安交通大学（中国）名誉教授、日本トライポロジー学会会長などを歴任。
　加藤さんと川内村村長の遠藤雄幸さん、福島大うつくしま未来支援センター特任研究員の開沼博さんによるパネルディスカッションもあった。遠藤さんは住民が帰還した村づくりに関し、「再生可能エネルギーによる＜農とロハス＞を選択肢として真剣に取り組んでいかなければならない」と述べた。開沼さんは除染や損害賠償問題など遅々として進んでいない現状を話した。加藤さんは「シンクタンクのような形態を形成していくには、若い人たちが考えていくことが大切。テクノロジーのフロントを語れる人を養成しなければならない」と締めた。
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　日大工学部は2009（平成21）年、構内に太陽光、風力発電や地中熱抽出、雨水利用などで最先端技術を駆使した「ロハスの家」1号機を完成させている。地元企業など5社との共同開発。10、11年にはそれぞれ2、3号の家が完成した。
                                                                    （2012・10・22）