首都圏の大学生でつくる震災復興支援団体「あいべ福島プロジェクト」（板里彩乃代表）は１０月１４日、福島大学で同大学生との初の交流会を開き、福島県の現状と将来ビジョンを語り合った。
　あいべ福島プロジェクトは昨年７月以降、福島の魅力を伝える様々なサポート活動を展開。先月は福島県産の食材を使った料理で食の安全をPRする「福カフェ」を神奈川県川崎市に臨時オープンさせ、風評被害の解消にひと役買った。
　福島大生との交流は、同大経済経営学類教授の西川和明さんの申し出で実現した。あいべ福島から１４人、それに西川ゼミの学生と、震災を機に立ち上げた福島大の全国学生プロジェクト（ＪＡＳＰ）のメンバー合わせて２８人が参加した。
　自己紹介と活動紹介に続いて、「福島の良いところと、悪いところ」をテーマに、５グループに分かれてディスカッション。グループごとに意見を交わし、良い面、悪い面をそれぞれ発表したあと、これらの意見を取りまとめた。
　外から見た福島の印象は「県土が広く、会津、中通り、浜通りの３地方それぞれがバラエティー豊か」、その一方で「外国人が少ない」「若者が少ない」「交通の便が悪く、車がないと動けない」「情報発信が少ない」「派閥があって、交流が少ない」や「祭りが多く、郷土愛がすごい」「ご飯やラーメンがおいしい」「食材が豊か」「果物王国」「温泉が多い」「人が温かく、自然豊か」「空気がきれい」「（情熱のある）熱い人が多い」、なかには人情味とあわせて「おばあちゃんがうるさい」といったコメントもあった。
　各グループがまとめとして挙げたのは「祭りが多い地域性」（２グループ）、「郷土愛」「自然豊かで四季がはっきりしている」「観光資源の開発」で、その中で良い面、悪い面を引き出し、今後の活動の参考にすることにした。
　祭りが多い点は「地域の特色を一番伝えやすいし、首都圏から近いところもいい」「県を発展させるには観光が重要」と指摘した。郷土愛は「強化することで情報発信につながる」、放射能問題では「正しい情報を発信すること」、さらに「観光スポットが多いにもかかわらず、生かし切れていない」「県全体にキャラ（特色）がない」といった感想も出された。
　祭りの特色に関し、ある代表からは「須賀川のきうり天王祭や、福島のわらじ祭りは、ほかにはない珍しい行事ではないか。このような祭りをぜひ生かすべき」といった意見が寄せられた。
　西川さんは「福島は人と人の距離が近いし、企業も同じことが言える。ただ、連携が弱く、何でも国や県に頼ってしまうきらいがある。自分たち一人ひとりが責任を持ってやっていくことが求められる」と今回のディスカッションを総括した。
　今回の交流会は、本紙報道がきっかけで実現した。
　あいべ福島の活動については http://aibe.minibird.jp/wp/　か、http://aibe-fukushima.cocolog-nifty.com/blog/　へ。