幕末から昭和にかけて波乱に富んだ人生を歩んだ会津出身の新島（旧姓・山本）八重（1845～1932）の生涯と、白河、二本松における戊辰戦争を追った「新島八重の生涯と戊辰戦争展」が、１１月４日まで白河市の白河集古苑と二本松市歴史資料館で開かれている。
　激動の時代を生き抜き、「幕末のジャンヌ・ダルク」「ハンサムウーマン」などと称される八重は、会津藩砲術師範の山本家に生まれた。若松城（鶴ヶ城）の籠城戦では、男装しスペンサー銃を手に戦いを挑んだ女傑でもある。敗戦後、兄で洋学者の山本覚馬（かくま）を頼り京都へ移り、同志社創設者の新島襄と出会い結婚。日清、日露戦争では日本赤十字社の篤志看護婦として広島や大阪に赴き、負傷者の看護に携わった。一方で戦死者の遺族や女性の自立をサポートする活動にも力を注いだ。
　今展は特別企画展として、二本松、白河で同時開催。白河展は「新島八重の生涯と戊辰白河口の戦い－ゆずれない心、それぞれの矜持（プライド）－、二本松展は「新島八重の生涯と二本松藩の戊辰戦争－それぞれの覚悟－」をサブテーマに、白河は主に文書資料や写真パネル、二本松は工芸品や絵画などを中心に展示している。
　２会場あわせて、同志社社史資料センター所蔵の八重コレクション１００点のほか、関係団体の収蔵品、個人蔵の資料類を展示している。同志社からの資料は県内初公開。
　白河展は戊辰戦争・籠城戦から故郷への想い、兄・覚馬、伴侶・新島襄、篤志家、晩年までの１０のテーマに分けて開催。八重の精神を支えたという「日新館童子訓（上・下巻）」（福島県立博物館所蔵）や、襄から八重宛ての書簡、襄のコートとズボン、日本赤十字社章、茶人となった新島宗竹の裏千家茶道名誉引次木札、功績をたたえた大礼記念章など、「戊辰白河口の戦い」展とあわせて１３３点の資料類を展示。
　二本松展は、同志社所蔵の八重の「懐刀拵（ふところがたな・こしらえ）」や英文書簡草稿、覚馬の遺言状、昭和大礼記念章、男装・洋装・和装の八重の写真、新島夫妻と覚馬や会津出身の同志社英学校生徒が収まった写真、それに再現した洋装（福島県所蔵）など６２点、「二本松藩の戊辰戦争」展とあわせて１２９点が展示されている。
　このうち、当時の八重の洋装は、服飾を学ぶ同志社女子大の学生１５人によって再現。現存する写真をもとに、生地は本県の川俣シルクを使い、バッスルスタイルのドレスに仕上げたという。
　来年１月から放送予定のＮＨＫ大河ドラマ「八重の桜」では、幕末から昭和にかけて生き抜いた八重の生涯が紹介される。
 
 
　▽開催期間：９月１４日（金）～１１月４日（日）
　▽開館時間：午前９時～午後５時
　▽休館日：月曜日
　▽入館料：無料
　▽問い合わせ先：福島県観光交流局観光交流課（電話024-521-7286）
　http://www.yae-mottoshiritai.jp
            白河集古苑（電話0248-24-5050）、二本松市歴史資料館（電話0243-23-3910）

【写真：（左側は白河展、右側は二本松展）洋装・和装の八重、八重と篤志看護婦㊧、八重の懐刀拵、再現した八重のドレス】