福島県におけるグリーンエネルギー（再生可能エネルギー）の利活用を考えるフォーラム「地域のエネルギーとお金を地域と地球に活かす」～福島の復興に資する再生エネルギー利用にむけて～が９月２６日、福島市の福島大で開かれ、地域に根差した制度、政策の在り方と事業展開を考えた。
　認定ＮＰＯ法人・環境エネルギー政策研究所、法政大サステイナビティ研究教育機構、福島大うつくしまふくしま未来支援センターが共催した。
　フォーラムは「再生可能エネルギーが地球に資するための制度・政策とは何か」「地域に根差した再生可能エネルギー事業とは」の２部構成。
　１部は、県企画部調整部エネルギー課長の佐々木秀三さんが「福島県での再生可能エネルギーの取り組み」、福島大うつくしまふくしま未来支援センター・共生システム理工学類教授の佐藤理夫さんが「うつくしまふくしま未来支援センターの取り組み」、法政大サステイナビティ研究教育機構教授の舩橋晴俊さんが「地域に根差した再生可能エネルギーのための制度・政策主体とは」をテーマにそれぞれ事例、研究報告した。
　舩橋さんは、コミュニティーパワーを「地域のステークホルダーが事業の全体もしくは大部分を担っているか」「事業の意思決定にかかわる議決権の大部分を所有しているか」「社会的、経済的利益の大部分が地域に分配されているか」の３原則として挙げ、事業成功のカギを説いた。
　パネル討論では、ＮＰＯ法人超学際的研究機構の小椋真弓さん、名古屋大大学院環境学研究科准教授の丸山康司さん、佐々木さん、舩橋さんの４人が地域に資する制度と政策について意見を述べた。
　２部は「地域に根差した再生可能エネルギー事業とは」をテーマに、引き続きパネル討論を行った。自然エネルギーシフトを主張する環境学者の飯田哲也さん（環境エネルギー政策研究所長）がコーディネーターを務め、南相馬市復興企画部新エネルギー推進課係長の戸波誠さん、白河地域再生可能エネルギー推進協議会長の鈴木俊雄さん、会津みしま自然エネルギー研究会副会長の二瓶厚さん、元東邦銀行常務の渡辺正彦さんの４人がパネリストで参加した。
　戸波さんは、南相馬市が抱える課題と復興計画、スマートコミュニティーなどをスライドで説明。新しい農業の取り組みとして同市が構想を進めている「ドーム型植物工場」については、予定通り来年３月に完成する見通しを示した。ただ今後、プロポーザル方式入札を経て、着工する段取り。
　鈴木さんは「汚れたイメージの汚名を返上するには、グリーンエネルギーの推進がキーワード」とし、現在の電力固定化買い取り制度については「福島価格のプレミアム」導入を提案した。
　単体で事業を推進する難しさ、ファイナンス（金融機関）を取り込んだ事業展開などに関する意見、提案もあった。
　まとめとして飯田さんは、地域が事業を立ち上げるには「市民の投資に加え、行政の債務保証も必要となってくる」とし、「公共性と事業の成功は、この両立を確立することである」と強調した。

　【写真：（左上から右下へ）２部のパネル討論、討論に聞き入る参加者、パネリストの鈴木さん、渡辺さん、二瓶さん、戸波さん】