国際協力機構（ＪＩＣＡ）の受け入れで来日しているアフリカ・アンゴラ、モザンビーク両共和国からの研修生６人が７日、福島県郡山市の国際情報工科大学校・放射線工学科を訪れ、放射線についての知識を学んだ。
　ＪＩＣＡでは年間８０００人の研修生を受け入れているが、放射線分野を研修に取り入れたのは今回が初めて。研修生はアンゴラのダミォン・ジョルジェ・ブコさん（４１）、アンドレ・ジョジェ・ダ・シルヴァさん（４６）、モザンビークのアルトゥル・カルロス・エウジェニオ・シンビネさん（４５）、セーザル・アウグスト・トモさん（３３）、ジョシアス・ベレゾン・ジョアォンさん（３３）、ジェスチーノ・ラウイア・ペドロさん（４８）。アフリカ地域（ポルトガル語圏）医療機材管理・保守コースとして今年８月２３日～１０月３０日までの期間、本県を訪れている。現在、ＪＩＣＡ二本松や郡山市の医療設備施工会社メディサンなどを基点に研修を積んでいる。
　放射線工学科では、ＦＳＧカレッジリーグ放射線事業企画室長の内田章さんの説明を受け、日本における放射線の所管や基礎知識を習得した。研修生たちは、陽子と中性子でできている原子核の構造や、放射線量が距離の２乗に反比例して減少する（例えば距離２倍で４分の１、５倍で２５分の１に減少）ことなどを学んだ。
　内田さんは研修生の質疑に対して、現在の福島がチェルノブイリと比較して極めて少ない放射能汚染であることを強調。「この時点で体に悪影響が出ることは考えにくい。ただ、注意は必要で、私たちはつねに調査、研究をしている」と答えた。
　このあと研修生たちは、放射線量の高いガンマ線源、ベータ線源や、塩化カリ、肥料用リン、乾燥コンブ、湯の花、御影石、クリスタルガラスなどの材料を用いて実際に線量を測った。測る際に距離や金属板、紙片を当てた際の線量の違いなども興味深く学んだ。
　研修生のひとりは「福島で実際に見て、学んだことを母国に帰って情報発信したい」と話した。
　アンゴラはアフリカ南西部に位置し、石油やダイヤモンドなど豊富な資源を背景に急速な経済成長を続けている。モザンビークは南東部にあり、アンゴラと同じく経済成長を続ける。主要な貿易相手国はオランダと南アフリカ。
                              (2012・9・7)