世界最古級の伝統音楽を堪能し、灯火とともに祈りをささげる「ともし火と仏教声楽の夕べ」が８月１９日、福島県磐梯町の国指定史跡・慧日寺跡金堂前で開かれた。県内の真言宗の僧侶たち１０人が、仏教の伝統音楽・声明（しょうみょう）をとうとうと唱え、幽玄の世界へといざなった。
　～声明・夏の夜に響く平安仏教へのいざない～と題した今回の夕べは、昨年の大震災、原発事故を機に、「生」と「死」の意をあらためて問い直そうと、真言宗派の新義真言聲明・三宝会の僧侶たちによって催されている。２回目。
　ライトアップした金堂内では、法衣をまとった僧侶たちがおだやかに声明を唱え、演目の「四智梵語」「金剛界唱礼」「散華」、それに和太鼓の「六大響」などを披露した。辺りに響きわたる祈りは、深く観衆の心をとらえていた。境内には約３００の紙灯ろうがともされ、幻想的な雰囲気を漂わせていた。
　三宝会は、真言宗豊山派、室生寺派、新義真言宗の３派に属する僧侶たちによって構成されており、各地でチャリティー公演活動も繰り広げている。
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　慧日寺は平安初期、南都（奈良）の学僧・徳一（とくいつ）が理想の仏法を求めてこの地に入り、磐梯山のすそ野に同寺を開創。会津仏教発祥の地とも言われ、明治初期の廃寺まで１０００年以上の伝統を誇った。寺跡は、１９７０（昭和４５）年に国史跡に指定され、敷地約１７万平方㍍が文化遺産として保存されている。

　▽磐梯山慧日寺資料館（磐梯町磐梯字寺西３８、電話0242-73-3000、ファクス0242-73-3480）　　http://www1.town.bandai.fukushima.jp/