福島大学の特別公開講座（大同生命寄付講座）は11月12、26の両日、福島市の同大などで開き、約200人の受講者が「人を活かし、人が生きる経営」をテーマにした経営学を学んだ。

　４人の講師による2回にわたる講座で、1回目は福島大経済経営学類教授の西川和明さんが「『人を活かす経営』の理論と実践」～なぜ、小説゛もしドラ゛がヒットしたのか～、寺田共同会計事務所社員税理士の深瀬善太さんが「経営者のための会計力」について、2回目はJSパートナー社長の福島文二郎さんが「ディズニーの人材教育メソッドを企業経営に活かす」～ミッションを理解し自ら動くスタッフ～、奇跡コーチング・ワークス代表の阿部尚俊さんが「゛ワンマン゛から゛チームプレー゛会社へ」～目指すは提案型企業へ～と題して講義した。

西川さんは、マネジメント、現代経営学者ピーター・ドラッカーの理論を基に、人的資源、イノベーション、マーケティングのバランスのとれた企業経営を説き、「経済破たんはこれら三要素のアンバランスが原因」と指摘した。

元オリエンタルランド（ディズニーランド、ディズニーシー経営）社員の福島さんは、ディズニーランドで働いた経験をもとに、「テーマパークのＣＳ（顧客満足）の考え方」「ミッション（理念）の重要性」「ホスピタリティー」の3点を取り上げ、説明した。

顧客満足とは「小さな感動をたくさん創ること」であり、それが「（リピーターをつくり）長期的かつ継続的な利益の維持確保につながっていく」と述べた。その上で、顧客満足と従業員満足（ＥＳ）は自転車の両輪の関係にあり、「゛予想外の感動゛を生み出すことにもなる」とした。

震災（東日本大震災）時の園内において、スタッフが取ったとっさの判断や心が通ったひと言（声掛け）についても言及した。そのスタッフは防災ずきん代わりに子どもにぬいぐるみを手渡し、そのあと、恐怖におびえる子どもに「ミッキーが守ってくれるよ」と話したという。「そのひと言で（子どもが）安心し、（スタッフと）心が通い合った」と、福島さんは感動の秘話を語った。

最後に福島さんは「人が生み出すサービスは真似ができない」と述べ、企業経営のあり方を示唆した。

【写真：大勢の受講者が参加した講義と講師の福島さん】