ライフサポートのピースネット「トウエキ」（根本昇社長）は２９日、大改造ビフォー・アフターでおなじみの匠、瀬野和広さんを招いた住宅セミナーを郡山市のJA郡山市会館で開いた。
　瀬野さんは東京デザイナー学院スペースデザイン科を卒業後、大手の大成建設などを経て独立、設計アトリエ１級建築士事務所を開設した。いわき市のまちづくりコンクール「いわきの家」設計コンペの大賞、特別賞をはじめ、各地の設計コンペで数多く受賞している。民放テレビ「劇的ビフォー・アフター」にはこれまで５回出演している。
　講演で瀬野さんは「家さえもが商品として消費されるようになってしまっている今の日本では、日本古来の住環境には学ぶべき点が多い」などと話した。「夏のしのぎやすさに焦点を合わせた家づくりが行われていた昔は、冬の寒さは我慢していた。現代はオールシーズンの快適さを、建築のしかけにだけ求めており、我慢するという選択がなされていない」と述べた上で、「エネルギー問題が議論される中、我慢することも大切なのではないか」と、現代の住環境に疑問を投げかけた。また、「東日本大震災で建築物がガレキとなったことを目の当たりにして、ごみにならないモノづくりが重要だと考えるようになった」とも語った。
　実際に手がけた住宅を映写で紹介し、木を組むことによってできる空間の素晴らしさや、リフォームの際の有効性、間取りによる人間関係の変化などにも言及した。
　復興に向けても、海の波を止める方法ではなく、波を逃がすように考えるべきとの持論を展開した。「建築工事費の予算は骨組みに多くかけるべきであり、家作りは単なるモノづくりではなく、幸福になるためにあるべきだ」と締めくくった。
　講演に先立ち、形状記憶合金を使って家の衣替えをするWB工法の説明を、実験を交えて行った。