総合南東北病院グループ（福島県郡山市、渡辺一夫理事長）が、首都圏の基幹病院として神奈川県川崎市に新設した「新百合ヶ丘総合病院」（笹沼仁一院長）が８月１日開業する。がんの早期発見・診断に使うＰＥＴ-ＣＴ（陽電子放射断層撮影装置）や、放射線（エックス線）で病巣を集中照射する国内初導入のサイバーナイフ（定位置放射線治療装置）、手術ロボットなど最先端機器を備え、全診療科目に対応する。がん治療施設としては世界最大級。
　新百合ヶ丘総合病院は、東京・大手町の東京クリニック、中野区江古田の総合東京病院とともに首都圏の医療体制を担う。とりわけ、川崎市北部医療圏の救急・急性期医療を補い、救急搬入などの緊急時に対応する。災害対応のためのヘリポートも整備する。同市の要望で救急と小児、産婦人科を設けた。診療科目は約２０。
　ＰＥＴは当初２台でスタートし、状況をみて３台に増やす。サイバーナイフと連動した自動制御機能の手術ロボットなども備える。手術室は１０、ＩＣＵ（集中治療室）は１０床を予定。
　救急医療は、南東北総合病院グループの理念と渡辺理事長の方針に基づき、搬送されるすべての患者に対応する。「医療の柱である予防医学、救急医療、リハビリ、さらに先進医療でミッション（使命）を果たしていきたい」（同理事長）としている。
　新病院は地上６階、地下２階で、延べ床面積約３万３千平方㍍。医療機器を含め総投資額は２２０億円。病床数は３７７床、１４３室。急性期の手術や検査との連動、救急搬入など緊急時に利用しやすい環境を整えた。小児や産婦人科病棟には防犯ドアを設け、高い性能のセキュリティーゾーンを確保した。最上階は全室を特別個室とし、世界水準のホスピタティーの提供を目指す。
　職員数は約５３０人。うち医師５０人、看護師３００人。
　新百合ヶ丘総合病院の開業により、総合南東北病院グループの病院数は８カ所、病床数は１９０３床となる。
　７月２９日は同病院（川崎区麻生区古沢字都古）で開院記念式典を開く。午前１０時～正午まで内覧、正午から記念式典と祝賀会。
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　グループの旗艦、総合南東北病院（郡山市、病床数４６１）は２００８年、民間病院では世界初の陽子線治療施設を開設。さらに、再発がんや進行がんの治療装置「ホウ素性中性子捕捉法（ＢＮＣＴ）」の導入を決め、２年後の臨床試験（治験）を経て、１８年には低侵襲ながん治療を開始する。

　【写真：（左上から右下へ）８月１日開業する新百合ヶ丘総合病院（上下パース）、PＥＴ-ＣＴ、サイバーナイフ】