いわき市の東日本国際大、いわき短大などを運営する学校法人・昌平黌は、孔子祭と記念国際シンポジウム「現代文明と東洋思想」を同市で開き、儒学教育の果たす重要性と国際展望を探った。
 　シンポジウムは６月２２日、いわきワシントンホテル椿山荘で開かれ、孔子生誕の地・中国山東省の山東大、儒学研究で古い歴史を持つ成均館大学校、世界的に論語普及活動を行っている香港孔教学院、国立台湾大、元ベトナム外務省関係者、それに東京大、創価大、東日本国際大の教授陣らが参加した。
　成均館大学校儒学・東洋学部教授の徐坰遙さんが「儒家の人倫社会と経済原理」、同教授の呉錫源さんが「儒学思想の本質的特性と現代的意味」と題して発表。それらについて、国際基督教大教養学部教授の小島康敬さん、創価大工学部教授の山本修一さんがコメントをはさんだ。発表、意見を取りまとめる形で、山東大哲学・社会発展学院教授の傅永軍さん、東京大大学院総合文化研究科教授の山脇直司さんが全体へのコメントを行った。
　徐さんは「儒教は、人間は何かという本質的な問いかけよりも、人生をどう生きなければならないかという価値の主題に貫かれている」とし、さらに「安定した社会の形成させる道が貧富の差をなくすものであり、自らの度量により礼を尽くすことを儒家では礼学という。経済活動でも礼治主義が重視され、その基準は何よりも『義と利』を良識とする。この概念は公私関係と同じと考えてよい」と強調した。
　呉さんは現代社会の価値観と儒教の役割に関し、「儒学思想は人間に中心を置き、人間の真の主体性に基づいた仁義の人道を追求しようとしている」と述べ、「２１世紀の人類社会は人間の尊厳性が回復され、真の意味としての人間化された世界へと転換すべきである」と提言した。
　全体へのコメントで、山脇さんはこれからの儒学の発展性に関し、「個人と社会の関係を二項対立でとらえるのではなく、私を生かして公を開くことを考えていかなければならない」と述べ、将来世代と現代世代の和を説いた。最後に東日本国際大学長の田久昌次郎さんが総括した。
　席上、成均館大学校との姉妹校の締結式が行われ、昌平黌の緑川浩司理事長と成均館大学校の呉教授との間で協定書が取り交わされた。
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　シンポジウムに先立ち、第２４回孔子祭が東日本国際大で執り行われた。祭主の緑川理事長が玉ぐしをささげ、あいさつした。記念講演会で山東大教授の傳さん、東京大教授の山脇さんがそれぞれ「君子　先知か師儒か」「公共哲学とＷＡ」と題して講演した。

　

　　【写真：国際シンポジウム㊤と、成均館大学との姉妹校締結の協定書を交わす緑川理事長㊨と呉教授】